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講座「アートとしての数学」第24回(2005/3/24木)メモ

はじめに, 前回の漸化式の話しを補足してからまとめておく予定. それから次の話題に進みたい.

・・・・・ と講座の前には書いていたが, 参加者全員からの疑問や意見のおかげで「次の話題」には進まず, 「漸化式の話しの続き」でほとんど終わった. このように, 前置きのつもりの話しで終わってしまうことは, 本講座ではよくあるが, 疑問が遠慮なく出され話し合いが充実している証拠である.

漸化式」は「次のことを決める手順」である. たとえば, 歩くための手順は「今出した足と反対の足を次に出す」ことであり, この手順を右から始めて(これが初期条件)繰り返せば, 出す足は,
右, 左, 右, 左, 右, 左, 右, 左, ・・・・・
となり歩いてゆける.

・・・・このあと, 上の手順を数式で表すには, 右を 1, 左を-1とし
1, -1, 1, -1, 1, -1, ・・・・
という数列にするとよい, と話し, これを表す漸化式や一般項の式を考えた. また, 数列の初項を a1 とふつう書くが, プログラミングでは a0 と書くが多いという話しや「1と0はどちらが始まりか」という風な話しにそれていった. 昔, "0"という数が無かった頃, 始まりは必ず 1で, 今でも新年は 1月 1日にはじまるが, 新しい日は 0時 0分 0秒から始まる. この例を見ると, 単に"0"が比較的新しい時代の数なので,「始まりの数」の役目が 1から 0 に移ってきた, と思えるが, それだけでかたづく問題ではなさそうだ.
ここに 1メートルの棒があり, 棒の左端に"0", 右端に"1"と目盛りが書いてあったとする. この棒の長さは"1"メートルだが, 使われている数字は"0"から始まり, 数字は全部で"2"個ある. ここに現れる数, "1", "0", "2" は皆同じ「数」という顔をしているが, その役割を考えると順に, 「1メートルという長さを表す」, 「0という基準の位置を表す」, 「2個という全部の個数を表す」という風に, 役割の違いがある.
別の例. 1メートルおきに11本の木が1直線に並んでいると, 両端の木の距離は 10メートルになる. 11個の(木の)位置が10の長さを作る. ところが, 木が円周上に1メートルおきに並んでいると10本の木で円周の長さが10メートルになる.
計算に慣れている人はこんなことに戸惑わないだろうが, 慣れてなくて奇妙に感じることにこそ, 深く考える糸口がある. このような話しについては, 今後も折に触れて考えていきたい.

こんな話しや数列の話しで 2時間ほどかかり, 終わりに, 卵割の写真をWEBで見て, クラードニ図形の写真を見, 波動シミュレーションのアイディアを話して, ゴムヒモを振りまわして終わった.
こんな文章では, 参加していない人には支離滅裂に思えるだろうが, これ以上くわしく文章にする気もないので, しかたない.