Haniu filesのトップヘ

穴掘りを数える. -- 正と負の数 --

庭に穴を掘り, 掘り出した土で小山を作るとする.

こうして, 山が 2つ, 穴が 3つあったとする. 「山 1つ分足りない」と気になる人は, 隣の家の庭に一山差し上げたとか思ってほしい.
山 2つを +2(プラス2), 穴 3つを -3(マイナス3)ということにする.もし, 山 2つで穴を埋めると, まだ, 穴 1つ(-1)残る. 図で描くと,
を合わせると
このことを,
たす
(+2)(−3)=−1

と表すことにする. これがプラスの数(正の数)とマイナスの数(負の数)のたしざんである. では,
. 次のそれぞれの計算に合うように, 穴と山の話しを作ってください.
(イ) (+3)+(+4)=+7
(ロ) (+5)+(-3)=+2
(ハ) (-6)+(-2)=-8
(ニ) (-3)+(+3)= 0
(ホ) 0=(-2)+(+2)

次に引き算を考える.
ひく
(+5)(+3)=+2

は,「5山から 3山取り去ると 2山残る」というお話しでよいだろう.
では,
(+2)-(+3)
をどう考えるとよいか.
から を取ってこようとすると, 2山取った後, もう1穴掘って 1山作って取ってくる他ない. こうして が残る. したがって,
(+2)-(+3)=-1
と考えることにしよう.
. 次のそれぞれの計算について穴と山の話しを作って, 計算の答えを考えてください.
(i) (+1)-(+1)
(ii) 0-(+1)
(iii) (-1)-(+3)

さて, 次は, マイナスの数を引く計算.
(-1)-(-1)
をどう考えるか?
穴と山の話しで言うと, から を取り去るとどうなるか ? あっさりになると考える人もあるだろうが, 一体, 何も無い穴から, 何も無い穴を取り去るとは実際にはどういうことか ? 私にはリアルには想像しにくい.

そこで, 準備として, (+1)-(+1) のお話しを考えておく. から を取り去るのだから, 結果は当然 で 0となる.
ところで,「取り去った1山」はどうなったのだろう. かりにお隣の家の庭に差し上げたと考えておこう. つまり,
自分の庭の から を取り去ると, 自分の庭は, 隣の庭は となる. 取り去ったものは, どこかにあるはずなのだ.

これをヒントに, (-1)-(-1)についても考えよう. から を取り去るのだが, 取り去ったという穴は, 自分の庭には無くなっても, どこかにあるはずだ. 取られた穴が隣の庭に現れたと考えよう. どういうことかというと, 実際の作業としては, 隣の庭に穴を掘ってその土を, 自分の庭の穴に埋めたのである. こうすると確かに, 自分の庭からは が消えてになり, 隣の庭にはが現れるから, 「1穴が取り去られた(穴が隣の庭に行った)」と言えないだろうか ?

こうして「穴を取り去る」ということは「穴を土で埋める」ことだと言えそうだ. これを数で言えば「-1を引く」ことは「+1をたす」ことと同じ, となる.
似たようなことは多い. 箱にコマが詰まっていて 1ヵ所だけ空所があるパズルがある. 今, 図のように右上にある空所をなくすには, 左隣かすぐ下のコマを動かして空所を埋めればよい.「空所をなくすこと」と「コマが埋まること」(結果, 空所が他に移ること)は同じことである. あるいは, 乗り物の座席について.「空席が無くなる」のは「席に人が埋まる」ことと同じ. あるいは, ナベの水の底から上がってくるアブク. 「アブクが上に昇る」のは「アブクの居場所に水が次々に埋まっていく」ことである.

次のそれぞれの計算について穴と山の話しを作って, 計算の答えを考えてください.
(a) 0-(-2)
(b) (+3)-(-4)


問の答え (i) (+1)-(+1)=0 (ii) 0-(+1)=-1 (iii) (-1)-(+3)=-4 (a) 0-(-2)=+2 (b) (+3)-(-4)=+7 それぞれのお話しは省略.

この後, 順序としては正負の数のかけざんの「穴掘り理論」となるが, これは少々説明が苦しくなるので, 書くのは遠慮しておく. 正負の計算の説明には, 昔から知られた良い説明がいろいろあるので, WEBや本で探していただきたい. 穴掘り理論は他で見かけないので,書いた.