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音程と弦長について

ギターなどの弦楽器があればすぐに確かめられる実験です.(浅い容器にゴム輪をかけて弦としたものでもよい.)
まず, ある弦をどこも押さえずに指ではじく. 話しの便利のため, 鳴った音を階名(ドレミファソラシ)でドとしておく. では, 1オクターブ高いドの音を鳴らすには, その弦のどこを押さえてからはじくとよいか ? 答えは, 張ってある弦のちょうど中央, すなわち, 長さで言うと, 弦長の 1/2 のところである. (ギターのようにフレットがある楽器では, フレットと弦がさわる位置が弦長の 1/2 の所, ということです.)

はじく部分. 1/2 はじかない
鳴る音は"高いド".
(はじく部分の長さ) : (もとの弦長) = 1 : 2

では次に, ソやファの音を出すには弦のどこを押さえればよいか, というと, それぞれ弦長の 2/3, 3/4 の位置. 次の図参照.

はじく部分. 2/3 はじかない
鳴る音は"ソ".
(はじく部分の長さ) : (もとの弦長) = 2 : 3

はじく部分. 3/4 はじかない
鳴る音は"ファ".
(はじく部分の長さ) : (もとの弦長) = 3 : 4

これら 3種類の音程, 高いド--低いド(オクターブ), ソ--ド(5度), ファ--ド(4度) は,世界中の音楽で一番古くから使われていて, 今も一番基本的な音程である. これらの基本音程が, 弦の長さで調べると, 最も簡単な数 1, 2, 3, 4 でできる比,
1:2, 2:3, 3:4
でできている.

以上の, 音程と弦長比の関係も, 伝説ではピュタゴラス(紀元前6世紀. ギリシャ)が発見したとされているが, 実際は, もっと前にバビロニアで, また古代中国でも, 知られていたようだ.