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折り紙による等分割

折り紙は, 日本人の創った工芸技術だと聞いています. 正方形の紙を"折る"という操作だけで"鶴"を折りあげた先人はすごい. 新しい造形の可能性も豊かにあり, 今では世界的に研究されているようです.

さて, 辺の 2等分, 4等分, 8等分 ・・・・ はやさしいですが, 3等分, 5等分などはどうするか. このページでは正方形の辺や面積を等分割するための, 折り紙らしいきれいな方法をひとつ紹介します. これは増田嘉彦さんが10年以上前に書かれていた方法で, 調べてみると何等分でもできることがわかりました.

折り紙の辺を等分する法」というページに, たくさんの方法が書いてありますが, この方法は書いてありません.

3等分割

2つ折りした正方形の紙の ED を折り目にしてのように折ります. CD を ADに合うように折りとしてから開くと. 正方形の 1辺の長さを 1 とすると CG=1/3 となります. さらに, 3等分割の線を折りたければ, まず, B を G に折り合わせて HI を折ります. それから, DC を HI に折り合わせて JG を折ってできあがり. (先に, JG を折ってもよいですが, 実際に折ると, G で折るよりも B を G に折り合わせるほうが私はやりやすく感じます.)

一般の等分割

正方形の1辺の長さを 1, AE の長さを a として上と同じ手順をおこなうと,となり,CG=bとおくと,
b=
1-a
1+a
となります. (→補足@)

先ほど作った3等分割の BG=2/3 を利用して, a=2/3 とすると, b=1/5 となり, 5等分点ができます. a=3/4 とすると(3/4は4つ折りで簡単にできる), b=1/7 で 7等分もできます. (→補足A)

実際に折ってみると, DE の折り目を正確に作るのが案外むずかしいですが, くふうしてできるだけ正確にしてください. ここのズレは結果のズレに響きます. また, 7等分割を例に仕上げの段階だけ説明をつけくわえておきます. のあと, まず, B を G に折り合わせて HI を折ります. すると HD=IC=4/7 となるので, 長方形HICDを縦に4つ折りするとよい. 最後に 長方形 ABLK を縦に4つ折りすると7等分割線がすべてできます. (GC=1/7 を折り重ねて 2/7, 3/7, ・・・と作っていくと, 端まできてずいぶんずれてがっかりするかもしれない. 上の手順の方が誤差を吸収補正できます.)

補足

@ b=
1-a
1+a
を導く.

において, 全体の面積を△EAD, △EMD, △GCD, △GMD, △BEGの面積の和と考えると,
1
2
a+
1
2
a+
1
2
b+
1
2
b+
1
2
(1-a)(1-b)=1 となり,
整理すると, ab+a+b=1
これから, b(a+1)=1-a
よって,
b=
1-a
1+a
.

A このページの方法で何等分割でもできることについて. たとえば, 6等分割は 3等分割からできるので, <奇数>等分割がすべてできればよい. @の式を使ってくふうすればいくつも方法があるだろうが, 2つ折り, 4つ折り, 8つ折りなど, 2k 折りを利用する方法を結果のみ記す. n を奇数として, n 等分割するには,
2k < n < 2k+1 なる 2k と 2k+1 をみつけて,
a=(n-2k)/2k とすればよく, このとき
b=(2k+1-n)/n となる.

たとえば, 11等分割するには, n=11 に対し, 8 < 11 < 16 だから,
a=(11-8)/8=3/8. (8つ折りをすれば簡単にできる) このとき,
b=(16-11)/11=5/11. 1/11ではないが, 11等分割はできる. BG=6/11 だから, BGの中点をIとすると, IG=3/11. よって IC=8/11. ICを 8つ折りすればよい. 最後に, Bから4/11の位置を使えば 残りの等分割もできる.