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「アートとしての数学」第40回(2007/5/26)メモ

石鹸膜が作る形

シャボン玉はまん丸く宙に浮かぶ。なぜ, 四角や三角でなく丸くなるのか ? 針金で輪を作り, 石鹸液につけて引き上げると 平面の膜ができる。この針金の輪を折り曲げて, 横から見ると U字形にしてから膜を張らせると, 「馬の鞍」の形ができる。写真は石鹸膜の替わりに樹脂膜を張らせて固めたもの。

これらの石鹸膜の形に共通することは, 「与えられた条件の下で, 膜の面積ができるだけ小さくなるように膜が張る」ということである。針金, 指, 糸, 板, 棒などを使って石鹸膜を張らせると, さまざまな形ができるが, いずれも, それぞれの条件下で膜面積極小になる。また, このような面積極小の造形や, メカニズムは違うかもしれないが膜造形となぜか似ている形は, 自然界, 人工物を問わず多く, アート作品としての造形にもきわめて刺激される点が多い。そうした観点から, 以下に石鹸膜の各種造形から若干を挙げる。

参考文献 次の本は石鹸膜造形に限らず極小問題について扱っているが, 美しい絵や写真が多く大変親しみやすく, 数学や物理の内容についてもできるだけ入っていきやすい文章で質の高い内容を紹介している。
ヒルデブラント, トロンバ著「形の法則」東京化学同人

(つづく) 形の構造性や生成過程の意識化もアートの経験となりうる。