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数の世界の"またりさま"

"またりさま"とは, 三輪眞弘氏作曲の"伝統芸能"である。それがどんなものかは, このページでも最小限は述べるが, くわしくは,三輪氏によるまたりさま逆シミュレーション音楽をごらんいただきたい。
以下のページは, 「またりさまの数学的構造」をあつかう。

数の世界のまたりさま. 入門

地上で人間が演じるまたりさまと並行して, 天上では, またりの神々が"神遊びのまたりさま"に興じている。我々人間も, 時には, 神々の遊びの放つ香りに感じ入ってしまうことはないだろうか ? それは数学を通しても起こりうることだろう。

"またりさま"の原作と, その 0-1表記

          H 
     A         G
               
  B 
                 F
                
   C         E
        D  

8人が輪になり, 各人が隣の人の背中を見る形になり, 2種の音 --- 鈴の音とカスタネットの音 --- のどちらかを, これから述べる簡単な規則にしたがって隣の人に伝えていく。以下では, 鈴の音を 0, カスタネットの音を 1 としよう。はじめ 8人それぞれ 0 か 1 のいずれかの状態(鈴状態とカスタネット状態)を決めておく。
たとえば,

ABCDEFGH
状態00111001
と決めたとする。
1人目Aは,

(自分Aの状態 0)+(ひとつ前の人Hの状態 1)の答え 1

の状態に変わり, その 1 を表すカスタネットの音で, 次の人Bに伝える。
ただし, 以下での 0と1のたしざんは, 次のように決める。

0+0=0
0+1=1
1+0=1
1+1=0 ←これだけふつうとちがう

次に, Bは

(自分Bの状態 0)+(ひとつ前の人Aの状態 1)=(新しいBの状態 1)

で, 1 を次の人Cに伝える。以下同様のくりかえし。先の始まり方では次のようになってゆく。

ABCDEFGH
はじめの状態00111001
以降の状態11010001
01100001
・・・以下つづく

初めの8人の状態(以下「初期状態」という)が決まると, その後の音列は一通りに決まってしまう。

6種の音列

たとえば, 初期状態が 0 1 1 1 1 1 1 1 の場合, つづく音列は下の表のようになる。

対称形姉
01111111
10101010
11001100
10001000
11110000
10100000
11000000
10000000
11111111
01010101
10011001
・・・・・・・・

この 0 と 1 の数列(音列)を見ると, 上から8行目の右端, はじめから数えて 64音目の 0 から(灰バックの部分)同じ並び方(パタン)を繰り返しているのがわかる。つまり, 音列パタンには周期があり, この場合, 周期は 64-1=63 である。

また, この音列表の途中, たとえば 2行目の2番目からの 8個音列 0 1 0 1 0 1 0 1 を初期状態として演奏をはじめると, その続きは 1 0 0 1 1 0 0 1・・・・ となり, 8行目の 1 0 0 0 0 0 0 のあと, 1行目の 0 1 1 1 1 1 1 1 にもどってゆくと思ってよい。初期状態の8個音列をどこにしても, この音列表の1周期(63音)分をクルクルまわりつづけることになる。

では, この音列表で見つからないような 8個音列を初期状態にすると, どうなるか ? たとえば 0 0 0 1 0 0 1 0 を初期状態にすると, 次の音列表になる。


対称形妹
00010010
00011100
00010111
11100101
01000110
01111011
10101101
00110110
00100100
00111000
・・・・・(周期63)

これにも現れない 8個音列を初期状態にして音列表を作り・・・・ ということをくりかえすと, 結局, さらに 4種の音列が見つかる。


双子兄
00010101
11100110
10111011
00101101
11001001
01110001
10100001
00111110
00101011
11001101
・・・・・(周期63)
双子弟
01101010
01001100
01110111
10100101
00111001
11010001
01100001
10111110
11010100
10011000
・・・・・(周期63)
星合の音列
01101101
10110110
11011011
・・・・・(周期3)
空の音列
00000000
00000000
・・・・・(周期1)

以上, 6種類の音列(数列)のなかに, どんな 8個音列も見つかり, それを初期状態とする音列がわかる。

ある1つの音列にある8個音列で演奏をはじめると, その音列内の音列を繰り返しつづけるだけで, 決して他の音列に移ったりしない。(誰かがミスしないかぎり)
ここで, 。なぜ, このような, 音列の"分離"が生じるのか ?
(これに対して論理的な説明はあるだろうが, 論理的な説明では解消しきれない"謎感覚"が私には残る。)

音列に現れる"摂理"

対称形姉
01111111
10101010
11001100
10001000
11110000
10100000
11000000
10000000
11111111
01010101
10011001
00010001
11100001
01000001
・・・・・・・・

音列のひとつ対称形姉(周期63)には次のような"摂理"が発見される。

対称性】ひとりめの人が出す音だけを 1行目から縦方向に追うと, 0 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 0 1 0 ・・・・ であるが, この音列(数列)は, 全員による初めからの音列
0 1 1 1 1 1 1 1
1 0 1 0 1 0 ・・・・
とまったく同じである !

同様に, 2人目の人の音列 1 0 1 0 1 0 1 0 1 1 0 0 1 1 ・・・・ は, 全員の 2行目からの音列と同じ。3人目以降についても見て確かめてほしい。つまり, 各人の音列は全体の音列と同じである。

この性質から, 音列表の1行目左端の 0 からななめ右下方向につづく0の列を軸に, 0 と 1 が対称な位置に現れる結果となる。

2倍ビット音の一致】音列表のはじめの音(数) 0 を 「0番」として, 次々に 1番, 2番と番号をつけておく。
1番の音 1 と 2番の音 1 は等しい。
2番の音 1 と 4番の音 1 は等しい。
3番の音 1 と 6番の音 1 は等しい。
・・・・
・・・・
9番の音 0 と 18番の音 0 は等しい。
10番の音 1 と 20番の音 1 は等しい。
11番の音 0 と 22番の音 0 は等しい。
・・・・
・・・・
このように, ある番号の音と, その2倍の番号の音は必ず等しい。 自分の目で確かめていただきたい。

この性質は, 対称形姉の音列の他の音を 0番として調べると成立しない。この音列を 0 1 1 1 1 1 1 1 からはじまる形で書いたのは, この性質を見やすくするためである。

理論的には, 【対称性】と【2倍ビット音の一致】の性質から周期が63であることが導かれるのだが, ここでは証明には立ち入らない。

この他の音列の性質も記す。

対称形妹, 星合の音列, 空の音列。これらはいずれも【対称性】【2倍ビット音の一致】の性質あり。前に示した音列表で確認されたい。

残る 2種の音列, 双子兄, 双子弟はともに【対称性】も【2倍ビット一致】もない。そのかわり双子ならではの性質がある。 1周期(63ビット)分だけ, 気分を変えて 0 を, 1 を で 表した。

双子兄
双子弟

兄の1行目の音列 は, 弟の 1人目の音列(1周期分) と等しい。
兄の2行目の音列 は, 弟の 2人目の音列(1周期分) と等しい。
・・・・・・
逆に
兄の1人目の音列(1周期分) は, 弟の 1行目の音列 と等しい。
・・・・・・
まとめていうと, 1周期分について, 左上から右下の対角線を折り目にして, 数の配置を折り返すように移すと, 兄と弟が入れ替わる.

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ページをあらためてつづく・・・・・