子どもの前でケーキを分ける
あなたの前に, 小さい子どもが 8 人いて, 7個のケーキを公平にわけてあげたいとします. だれも文句を言わないように.
あなたなら, どうしますか ? 数も計算も知らない子でもモンクを言わない方法がよいの ですが.
じょうずな分け方の例
古代エジプトの数学の本には, "パン分け問題"がのっていて, その答えの考え方でケーキを分けてみます.
ケーキが7個しかないので 1個ずつはあげられません. そこでまず, ケーキ 1個の半分ずつを 8人に渡します.
で, 「みんな同じだね. 」と言うと, 子どもはみんなウンとうなづきました.
残り 3個をどうするか ? 今度は 「1個の半分のそのまた半分」ずつの大きさに切って 8人に渡していきました
で, 「みんな同じだね. 」と言うと, 子どもはみんなウンとうなづきました.
残り 1個をどうするか ? 今度は 「1個の半分の半分の半分」ずつの大きさに切って 8人に渡していきました.
ケーキはちょうど配りきりました. どの子どもの皿にも, ケーキは,
だけずつあります.
で, 「みんな同じだね.」と言うと, 子どもはみんなウンとうなづきました. めでたし.
以上は, 古代エジプトの中王国時代(紀元前2000〜1800年ころ. ピラミッド時代より後)の数学の本「リンド・パピルス」にある考え方を参考にした.
この方法のかしこい点
- 一人分の分量がどれも同じなだけでなく, 形も同じである. これなら子どもは文句を言わない.
<参考> 4,5歳の子は, 同じ分量でも, 形が変わると, 分量も変わったと思うことがある. これについては「入れ物の形を変えると水の量は変わるか?」に書いた.
- ナイフを入れる回数が少ない. (7個すべてを 1個ずつ 8つに切り, 細切れを 7個ずつ渡す方法もあるが, 細切れより大きいのをほしいではないか.)
- 1, 2, 3, ・・・・・・ という数を知らなくても, まして, 分数を知らなくても, 同じ分量に分けられたことが明らかにわかる. (必要がないのに数字を使いたがるのは, 紙に穴を開けるのに電気ドリルを持ってきたり, ものがわかってないのに哲学用語を使いたがるのに似ている. )
ピラミッドをつくった人々はかしこい ! この方法は, どんな分けかたでも使えます. また, 分け方は一通りではありません.
たとえば,
4個のケーキを 5人で分ける.
4個のケーキを 9人で分ける.
この場合, 3等分割ではじめると, きれいに分けられます.
クイズ(古代エジプトの数学書, リンド・パピルスにある問題.) 次の分け方を考えてください.
- 6個のパンを 10人で分ける.
- 7個のパンを 10人で分ける.
- 8個のパンを 10人で分ける.
- 9個のパンを 10人で分ける.
他, 自分で問題を立てて, できるだけ, 切る回数が少ないきれいな分け方を考えてください.