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10まで数えられるこやぎ(絵本紹介)

以前「はしがき」に書いた文章をここに移した。「10まで数える」なんていう今ではちっちゃな子でも平気でしてることも, 大昔はじめての時にはこわがられたかもしれない.

2000/9/26
最近,「10まで数えられるこやぎ」という絵本を人に見せてもらったが, これがおもしろい. 10まで数を覚えた子ヤギが, 数を知らない他の動物たちを, ひとつ, ふたつ, みっつ, ・・・・と数えると, 他の動物たちは「かぞえられちゃった」と言って, こわがったり, 怒りだしたりして, みんなで「かぞえるこやぎ」を追いかける, ・・・・・・ といったお話し. これは, アルフ・プリョイセンという人の作った話だけれど, むかしむかし, かしこい人がいて数えることを発明したとき, まわりの人はもしかするとこわがったり怒ったりしたかもしれない. 技術や文明に対する"おそれ"のような感覚がむかしの人にはあって, 今の私たちにもヒョコと現れることがあるかもしれない. その"おそれ"は, 恐怖なのか畏怖なのか, たぶん両方混じっていて, タブーの感覚にもつながりそうだ.
(この絵本は福音館書店から出てます.)

絵本といえば, 私は人にたまたま見せてもらったのしか知らないのだが,「タンゲくん」(片山 健 作)もとても良かった. 左目がつぶされてるネコ"タンゲくん"が主人公で, そのネコも他の登場人物も背景もきわめて味の強い絵で, 目が引きこまれる. 特に"タンゲくん"は, 力強く立派な姿のネコで, 後で時々その顔がよみがえってくるほどのインパクトがあった.