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試論(ナカザワプログラム 他) 目次

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ペアノ算術の辞書(1)(2021.4.11)(pdfファイル)

ペアノ算術の辞書5(2)(2021.3.31 記)(pdfファイル)

ペアノ算術の辞書と文の真偽参照4(2021.3.19 記)(pdfファイル)

ペアノ算術の文の辞書と真偽の参照2(2021.3.8 記)(pdfファイル)

ペアノ算術の文の辞書と真偽の参照(2021.3.5 記)(pdfファイル)

ある冠頭標準形の真偽値について(詳細版)(2013.10.12 記)

概要;ΔはPAのΔ0文集合全体。Nを自然数の全体とする。この時,N→Δなる(再帰的)同型写像Cが存在する。(N→N)を自然数から自然数への関数全体とする。ここで扱う冠頭標準形とは例えば,無限命題関数∧vi(i=0〜∞)において各命題変数viがΔの勝手な要素をとるとし,その要素の割り当てはf∈(N→N)vi=C(f(i))としたものを∀x(f(x))で表す。従って,対象とする冠頭標準形は連続無限個ある。一般にΠn,Σn文も同様に定義される。このように定義された文に対する真偽値を議論する。

§1.導入 ここでは,一般に集合A,Bに対し(A→B)によって集合AからBへの関数全体を表す。集合(N→N)と実数の区間I={x|0<x≦1}は,次のようにして同一視する。f∈(N→N)に対し,g(0)=f(0),g(n+1)=g(n)+f(n+1)+1とgを定義する。更にm=g(n)を満たすn全体に対しh(m)=1,それ以外のkについてh(k)=0と無限2進数列を定義し,これを0.h(0)h(1)……と無限2進小数で表すとこれはIに属する実数。この同型写像をL0;(N→N)→Iとする。(この同型写像は急増加関数が0の近榜に写される)逆写像をR0で表す。また(N→I)からIへの同型写像をL,逆写像をRで表す。但し,Lは次のように定義される。f∈(N→I)とするとf(0)=0.d(0,0)d(0,1)……,f(n)=0.d(n,0)d(n,1)……,…と並べ,これに0.d(0,0)d(1,0)d(0,1),d(2,0)d(1,1)d(0,2)……なる無限2進小数を対応させる。(カントルの対関数の順序に従う)n変数述語をP(X1,…,Xn)=C(f(P(X1,…,Xn)))と定義し,(ここにPは対関数)(f(X1,…,Xn))で表す。これらの述語はΠn,Σn文の真偽値を考える上で便利な範囲でしか用いない。 n変数関数の2通りの扱い方について述べる。同型(N→(N→N))→(N×N→N)Pは同型N×N→Nを与えるから右辺の要素はf∈(N→N)を用いてf(P(x,y))と表せる。x∈Nに対し,g(x)=f(P(x,y))とする。xを固定するとき,f(P(x,y))らyをf(P(x,y)に写す(N→N)の要素と見なすとg∈(N→(N→N))となる。逆に,g∈(N→(N→N))に対し,g(x)∈(N→N)よりg(x);y→g(x)(y)なる関数を定義する。2変数関数g(x)(y)=f(P(x,y))があるf∈(N→N)に対して成り立つ。更に,同型(N→(N→N))=(N→I)=Iがあるから,r∈Iに対してR(r)∈(N→I)。R(r)(x)∈I。R0(R(r)(x))∈(N→N)より2変数関数R0(R(r)(x))(y)を考えても良い。一般に同型(N×…×N→N)→(N×(N×(N×(…×…×(N×N)…))))→(N→(N→(N→…)))→(N→I)→I(最初の同型は対関数の反復の仕方を指示する)よりn変数関数は実数r∈Iに対してn変数関数R0(…R(R(r)(X1))(X2))…(Xn−1))(Xn)を対応させるのが同型写像I→(N×…×N→N)である。我々の議論では帰納的に諸性質をIの要素に帰着させる方向で進めるので同型(N×…×N→N)=(N→(N→(N→…)))=Iにおいて右辺を用いる。先ず,Π1文∀x(f(x))についての真偽値を考える。(ここにfは(N→N)のある要素。)TΔはΔの真なる要素全体,FΔはΔの偽なる要素全体とする。同型写像C;N→Δで,(Nの無限部分集合N0)→TΔなる同型写像をC0。(N−N0=無限部分集合N1)→FΔなる同型写像をとる。f∈(N→N)としてImf⊂N0なるものについてL0(f)全体をI(1,0),f∈(N→N)としてImf⊂N1なるものについてL0(f)全体をI(1,1),それら以外のf∈(N→N)についてL0(f)全体をI(1,2)とする。同型α;N→N0よりf∈(N→N)にαof∈(N→N0)なる同型写像α;f→αofが存在する。従って(N→N)→(N→N0)=I→I(1,0)なる同型写像α~が存在する。同様にI→(N→N1)=I→I(1,1)なる同型写像β~も存在する。r∈I(1,0)=I(1)についてf=R0(r)〓∀x(f(x))は真。r∈I(1,1)=RJ(1)についてf=R0(r)〓∃x(f(x))は偽。r∈I(1,0)∪I(1,2)=J(1)についてf=R0(r)〓∃x(f(x))は真。r∈I(1,1)∪I(1,2)=RI(1)についてf=R0(r)〓∀x(f(x))は偽である。J(1)はB(1,k)をx<kならf(x)∈N1,f(k)∈N0,x>kならf(x)∈Nなる関数全体であると定義すると各自然数kについて,f∈(N→N)を自然数の可算無限順序数列,即ち(f(0),f(1),……)で表した時,これに(βof(0),…,βof(k−1),αof(k),f(k+1),……)を対応させる変換をγ(k)とした時,B(1,k)はγ(k)of∈(N→N)で得られる。r∈Iに対してR(r)=f(∈(N→N)(βof(0),…,βof(k−1),αof(k),f(k+1),……))なる関数をIに移す変換をΓ(k);r→γ(k)oR(r)とするとImΓ(k)=Γ(k)(I)=L0(B(1,k))。明らかにk≠mの時,Γ(k)(I)∩Γ(m)(I)=φ。J(1)=Γ(0)(I)∪Γ(1)(I)∪…(直和)),各自然数kについて同型I→Γ(k)(I)が存在する。特に,B(1,∞)をf∈(N→N)に対してβof全体と定義する。するとΓ(∞)(I)=I(1,1)。ゆえにI=∪Γ(k)(I)(kは0から∞まで)を得る。各f∈(N→N)に対し,δ(k);γ(k)of→γ(k+1)of,特に,δ(∞);βof→γ(0)ofと定義するとこれから同型I→J(1)を得る。RI(1)はRB(1,k)をx<kならf(x)∈N0,f(k)∈N1,x>kならf(x)∈Nなる関数全体,RB(1,∞)をf∈(N→N)に対して,αof全体と定義するとJ(1)と同様に同型I→RI(1)を得る。同型α;N→N0(=I(1))→I,J(1)→I,RI(1)→I,RJ(1)→Iから同型写像F(1);I→I(1),G(1);I→J(1),RF(1);I→RI(1),RG(1);I→RJ(1)とする。

【定理1】f∈(N→N)の時,L0(f)=r∈Iに対して,F(1)(x)=r,G(1)(x)=r,RF(1)(x)=r,RG(1)(x)=rがx∈Iに解を持つか否かで∀x(f(x)),∃x(f(x))の真偽が定まる。別の言い方をすればrにF(1),G(1),RF(1),RG(1)の逆写像を施したとき,どれでIに戻るか分かれば,∀x(f(x)),∃x(f(x))の真偽が定まる。Π1文(Σ1文)はf∈(N→N)で決まるから,真なるΠ1文を定義するf全体をTΠ1,偽なるΠ1文を定義するf全体をFΠ1,真なるΣ1文を定義するf全体をTΣ1,偽なるΣ1文を定義するf全体をFΣ1と表す。これらはL0(TΠ1)=I(1),L0(TΣ1)=I(1,0)∪I(1,2)=J(1),L0(FΠ1)=I(1,1)∪I(1,2)=RI(1),L0(FΣ1)= I(1,2)=RJ(1)で特徴づけられる。なお,r∈Iは(N→N),(N→I)においていくつの変数の関数を表すか判然としないので以降n変数関数の像である場合,(n,r)∈N×Iで表す事にする。次のセクションで,n(≧2)変数に進む。

§2.一般の場合 上と同様の結果を帰納法で示すが,1変数の場合だけ関数f∈(N→N)=Iだが2変数関数は同型(N→(N→N))→(N→I)を利用してf∈(N→I)で進める,一般にn(≧2)変数ではそうなる所が1変数の場合との相違点であるから2変数の場合を示せば,帰納法で一般の場合を示せる事は明らか。§1.での同型写像L;(N→I)→Iと逆の同型R;I→(N→I)。n変数述語P(X1,…,Xn)はn変数関数f(X1,…,Xn)によりC(f(X1,…,Xn))と定義される。但し,n変数関数fは上の実数(n,r)∈N×Iに対してn変数関数R0(…R(R(r)(X1))(X2))…(Xn−1))(Xn)を得る事を思い出しておく。 先ず,Π2文を定義する。(2,r)∈N×Iにより定義する。xに関する1変数Σ1述語∃yC(R0(R(r)(x))(y))よりΠ2文∀x∃yC(R0(R(r)(x))(y))を定義する。同様にΣ2文は∃x∀yC(R0(R(r)(x))(y))。 次にTΠ2,FΠ2,TΣ2,FΣ2を定義する。 粗っぽく言えば,真なるΠ2文は各自然数xに対し,真なるΣ1文を(1,r(x))∈N×Iから関数R(r(x))∈(N→N)を経由して,各自然数xに対し,真なるΣ1文∃yC(R(r(x))(y))を対応させて得られるΣ1述語∃yP(x,y)から∀x∃yP(x,y)〓∀x∃yC(R(r(x))(y))で真なるΠ2文を定義する。 これを我々の定義に沿うように述べ直す。先ず(1,p)∈N×Iとし,∃yC(R0(p)(y))∈TΣ1。次に各xに対し,上のようなp∈Iを対応させる関数f∈(N→I)を導く(2,r)∈N×Iを取る。R(r)=f。定義より∀x∃yC(R0(R(r)(x))(y))は真なるΠ2文。ここでR(r)∈(N→I)。任意の自然数xについてR(r)(x)∈TΣ1(Cは省略している)。このようなr全体=L(TΠ2)=I(2)。R(r)∈N→TΣ1⊂N→(N→N)=N→I。L0(TΣ1)=J(1)。§1より,同型G(1);I→J(1)が存在するから,同型(N→I)→(N→J(1))が存在し,これから同型F(2);I→I(2)が存在し,(2,r)∈N×Iに対し,F(2)(x)=rが解x∈Iが存在〓∀x∃yR0(R(r)(x))(y)は真。(R(r)=f∈(N→(N→N))=(N×N→N)とすると∀x∃y(f)が真)。 次に真なるΣ2文を定義する。(2,r)∈N×Iに対し,R(r)=f∈(N→I)とする。§1同様B(2,k)をx<kならf(x)∈FΠ1,,f(k)∈TΠ1,x>kならf(x)∈I→(N→I)なる関数全体,B(2,∞)を任意の自然数nに対してf(n)∈FΠ1と定義する。fをIの要素の可算無限順序列,即ち(f(0),f(1),……)で表した時,これに(RJ(1)of(0),…,RJ(1)of(k−1),F(1)of(k),f(k+1),……)を対応させる変換をδ(k)とした時,B(1,k)はδ(k)∈(I→I)で得られる。I→L(B(1,k))。また,δ(k)を(N→I)=Iから自身への同型写像と見なすと,明らかにk≠mの時,δ(k)I∩δ(m)I=φ。J(2)=Γ(0)I∪Γ(1)I∪…(直和)),各自然数kについて同型I→δ(k)Iが存在する。§1.同様に,同型G(2);I→J(2)=L(TΣ2)を得る。同様にRF(2);I→RI(2)=L(FΠ2),RG(2);I→RJ(2)=L(FΣ2)が存在する。 同型写像F(2);I→I(2),G(2);I→J(2),RF(2);I→RI(2),RG(2);I→RJ(2)が存在する。

【定理2】f∈(N→I)の時,L(f)=r∈I=(N→I)=(N→(N→N))=(N×N→N)に対して,F(2)(x)=r,G(2)(x)=r,RF(2)(x)=r,RG(2)(x)=rがx∈Iに解を持つか否かで∀x∃y(f(x,y)),∃x∀y(f(x,y))の真偽が定まる。定理1,2より帰納法においてn−1を仮定し,nを示すことは容易。よって次の定理にまとめておく。

【定理3】n≧2とする。n=1の場合は定理1参照。 同型写像F(n);I→I(n),G(n);I→J(n),RF(n);I→RI(n),RG(n);I→RJ(n)が存在する。 (n,r)∈N×Iの時,F(n)(x)=r,G(n)(x)=r,RF(n)(x)=r,RG(n)(x)=rがx∈Iに解を持つか否かでrから復元された母式(matrix)(f(x,…))を持つΠn文∀x…(f(x,…)),Σn文∃x…(f(x,…))の真偽が定まる。別の言い方をすれば,rにF(n),G(n),RF(n),RG(n)の逆写像を施したとき,どれでIに戻るか調べれば,Πn文∀x…(f(x,…)),Σn文∃x…(f(x,…))の真偽が定まる。 また,真なるΠn文全体をTΠn,偽なるΠn文を定義するf全体をFΠn,真なるΣn文を定義するf全体をTΣn,偽なるΣn文を定義するf全体をFΣnと表す。これらはL(TΠn)=I(n),L(TΣn)=J(n),L(FΠn)=RI(n),L(FΣn)=RJ(n)で特徴づけられる。

【系】PAの冠頭標準形の述語は再帰的関数fで(f)と表され,上の標準形に含まれるから,上の定理はPAの冠頭標準形に対しても有効である。

【注意】上の議論は関数集合としてフルセット(N→N)=Iを取ったが関数集合として部分集合N→N=Nとして右辺から左辺への同型写像をRとおくときR(R(i)(x))(y)=R(j)(P(x,y))が成立すればIで行った議論がN及び(N→N)に移るだけで同様の結果が得られる。例えば,再帰的全域関数全体をインデックスする関数をA(n)とするときA(A(i)(x))(y)=A(j)(P(x,y))となるようなA(j)を無際限に加え続けて拡大したもの。A再帰的全域関数の枚挙関数A'さらにA'再帰的全域関数の枚挙関数…などである。

(議論)f,g∈(N→N)のときfog∈(N→N)でf,g,特に,fogはIの実数への同型写像で写されるが,Iでのfの像を(f)とおくと(fog)は(f)(g)なるIの非可換な積を定義するが,何らかの積の性質を保存する射(N→N)→Iはあるか。同型F(n);I→I(n)において反復F(n)oF(n)o…(I(n))は不動点等を持つか。各同型I→I(n),I→J(n) を同相にする位相(Iからの誘導位相をI(n),J(n)RI(n),RJ(n)に入れたとき)はどのようなものになるか。 多くの人々は特定の問題に関心を持つ。何かしら,結果を捻り出すには非計算不可能な仮定で集合論の主要な公理系と無矛盾なものから計算可能な結果を出すのだろうが,場合によっては,仮定そのものが記述不可能な場合もあり得る。

ある冠頭標準形の真偽値について(2013.9.24 記)

概要;ΔはPAのΔ0文集合全体。Nを自然数の全体とする。この時,N→Δなる(再帰的)同型写像Cが存在する。(N→N)を自然数から自然数への関数全体とする。ここで扱う冠頭標準形とは例えば,無限命題関数∧vi(i=0〜∞)において各命題変数viがΔの勝手な要素をとるとし,その要素の割り当てはf∈(N→N)vi=C(f(i))としたものを∀x(f(x))で表す。一般にΠn,Σn文も同様に定義される。このように定義された文に対する真偽値を議論する。

§1.本文 ここでは,一般に集合A,Bに対し(A→B)によって集合AからBへの関数全体を表す。集合(N→N)と実数の区間I={x|0<x≦1}は,次のようにして同一視する。f∈(N→N)に対し,g(0)=f(0),g(n+1)=g(n)+f(n+1)+1とgを定義する。更にm=g(n)を満たすn全体に対しh(m)=1,それ以外のkについてh(k)=0と無限2進数列を定義し,これを0.h(0)h(1)……と無限2進小数で表すとこれはIに属する実数。ここで同型写像L0;(N→N)→I,逆写像をR0で表す。また(N→I)からIへの同型写像をL,逆写像をRで表す。Lはf∈(N→I)とするとf(0)=0.d(0,0)d(0,1)……,f(n)=0.d(n,0)d(n,1)……,…と並べ,これに0.d(0,0)d(0,1)d(1,0),d(0,2)d(1,1)d(2,0)……なる無限2進小数を対応させる。n変数述語をP(X1,…,Xn)=C(f(P(X1,…,Xn)))と定義し,(ここにPは対関数)(f(X1,…,Xn))で表す。これらの述語はΠn,Σn文の真偽値を考える上で便利な範囲でしか用いない。 n変数関数の2通りの扱い方について述べる。同型(N→(N→N))=(N×N→N)Pは同型N×N→Nを与えるから右辺の要素はf∈(N→N)を用いてf(P(x,y))と表せる。x∈Nに対し,g(x)=f(P(x,y))とする。xを固定するとき,f(P(x,y))らyをf(P(x,y)に写す(N→N)の要素と見なすとg∈(N→(N→N))となる。逆に,g∈(N→(N→N))に対し,g(x)∈(N→N)よりg(x);y→g(x)(y)なる関数を定義する。2変数関数g(x)(y)=f(P(x,y))があるf∈(N→N)に対して成り立つ。更に,同型(N→(N→N))=(N→I)=Iがあるから,r∈Iに対してR(r)∈(N→I)。R(r)(x)∈I。R0(R(r)(x))∈(N→N)より2変数関数R0(R(r)(x))(y)を考えても良い。一般に同型(N×…×N→N)=(N→(N→(N→…)))=(N→I)=Iよりn変数関数は実数r∈Iに対してn変数関数R0(…R(R(r)(Xn))(Xn−1))…(X2))(X1)を対応させるのが同型I=(N×…×N→N)である。我々の議論は帰納的に諸性質をIの要素に帰着させる方向で進むので同型(N×…×N→N)=(N→(N→(N→…)))=Iを頻繁に用いる。先ず,Π1文∀x(f(x))についての真偽値を考える。(ここにfは(N→N)のある要素。)TΔはΔの真なる要素全体,FΔはΔの偽なる要素全体とする。同型写像C;N→Δで偶数全体N0がTΔへの同型写像。奇数全体N1がFΔへの同型写像となるものをとる。f∈(N→N)としてImf⊂N0なるものについてL0(f)全体をI(1,0),f∈(N→N)としてImf⊂N1なるものについてL0(f)全体をI(1,1),それら以外のf∈(N→N)についてL0(f)全体をI(1,2)とする。r∈I(1,0)=I(1)についてf=R0(r)〓∀x(f(x))は真。r∈I(1,0)∪I(1,2)=J(1)についてf=R0(r)〓∃x(f(x))は真。である。I,I(1),J(1)はいずれも連続濃度。I(1)は明らか,J(1)はB(k)をx<kならf(x)∈N1,f(k)∈N0,x>kならf(x)∈Nなる関数全体と定義すると各自然数kについてB(k)は連続濃度。J(1)はこれらB(k)全体の和集合だから連続濃度。ここでのJ(1)=∪k<ωB(k)はn≧2でもJ(n)を同様に表せる。同型写像F(1);I→I(1),G(1);I→J(1)が存在する。r∈Iに対して,F(1)(x)=r,G(1)(x)=rがx∈Iに解を持つか否かで∀x(f(x)),∃x(f(x))の真偽が定まる。真なるΠ1文(Σ1文)はf∈(N→N)で決まるから,真なるΠ1文を定義するf全体をTΠ1,真なるΣ1文を定義するf全体をTΣ1と表す。これらはL0(TΠ1)=I(1),L0(TΣ1)=I(1;0)∪I(1;2)=J(1)で特徴づけられる。次に,n(≧2)変数 に進む。帰納的に進めるからL(TΠn)=I(n)(⊂I),L(TΣn)=J(n)(⊂I)で特徴づけられ共に連続濃度と仮定する。但し,n=1の時はLはL0に置き換える。(Lは(N→I)からIへの同型写像であった)n変数述語P(X1,…,Xn)はn変数関数f(X1,…,Xn)によりC(f(X1,…,Xn))と定義される。但し,n変数関数fは上の実数r∈Iに対してn変数関数R0(…R(R(r)(Xn))(Xn−1))…(X2))(X1)で得る。Πn+1文は勝手なr∈Iに対し,対応するR(r)=g∈(N→I)からr(k)∈Iから得られるR(r(k))=f(k)とおくときX0=kにΣn文∃X1QX2…QXn(f(k)(X1X2…Xn))(Qは∀または∃)を対応させるX0についてのΣn述語P(X0)=∃X1QX2…QXn(f(X0)(X1,X2,…,Xn))に対して∀X0P(X0)をΠn+1文と定義する。Σn+1文も同様に定義する。真なるΠn+1文は各自然数X0について述語(f(X0)(X1,X2,…,Xn))∈TΣnのとき,r∈I(n+1;0)〓∀X(R(r)(X)∈J(n))。同様に真なるΣn+1文はある自然数X0について述語(f(X0)(X1,X2,…,Xn))∈TΠnのとき,即ち,r∈J(n+1)〓∃X(R(r)(X)∈I(n)。L(TΠn+1)=I(n+1),L(TΣn+1)=J(n+1)は共に連続濃度。よって以上をまとめて次の定理を得る。

定理;L(TΠn)=I(n)(⊂I),L(TΣn)=J(n)(⊂I)で特徴づけられ共に連続濃度但し,n=1の時はLはL0に置き換える。(Lは(N→I)からIへの同型写像,L0は(N→N)からIへの同型写像)また濃度の対等から同型写像F(n);I→I(n),G(n);I→J(n)が存在し,r∈Iに対して,F(n)(x)=r(G(n)(x)=r)がx∈Iに解を持つか否かでf(X1,…,Xn)=R0(…R(R(r)(Xn))(Xn−1))…(X2))(X1)とおくときΠn(Σn)文QX1…QXn(f(X1,…,Xn))の真偽が定まる。

注意1;PAの冠頭標準形の述語は再帰的関数fで(f)と表され,上の標準形に含まれるから,上の定理はPAの冠頭標準形に対しても有効である。

注意2;上の議論は関数集合としてフルセット(N→N)=Iを取ったが関数集合N→N=Nとして右辺から左辺への同型写像をRとおくときR(R(i)(x))(y)=R(j)(P(x,y))が成立すればIで行った議論がNに移るだけで同様の結果が得られる。例えば,再帰的全域関数全体をインデックスする関数をA(n)とするときA(A(i)(x))(y)=A(j)(P(x,y))となるようなA(j)を無際限に加え続けて拡大したもの。もっと,端的に言えば,A再帰的全域関数の枚挙関数A'さらにA'再帰的全域関数の枚挙関数…などである。

(議論)上の定理の関数F,Gを連続関数に取れるか。

停止問題とPA(2013.9.11 記)

あるプログラムを実行したときいつか停止するか否か答えるルーチン(停止性判定ルーチン)があるとする。プログラムを入力し,YESかNOを返す。このルーチンがサブルーチンとして,普通のプログラムe(0)をパラメーターとしてA(0)(e(0))の形で呼び出して使えるプログラムe(1)を考える。このプログラムに対しても停止性判定ルーチンA(1)があり,A(1)(e(1))で呼び出せるとする。 次にA(0),A(1)をプログラムに含むプログラムe(2)に対する停止性判定ルーチンをA(2)(e(2))があるとする。同様に,一般にA(n)が有る計算システムのプログラムではA(k)タイプのサブルーチンがいつも呼び出せるとする。さて次に例えばPA(ペアノ算術の公理的システム)の1変数の述語を考える。PAの命題は原始再帰的述語P(x)が与えられたとき,有限時間で各自然数nに対してP(n)の真偽が普通のプログラムe(0)で分かる。しかし∀xP(x)(任意の自然数xに対してP(x)は真である)や∃xP(x)(ある自然数xについて真である)なる命題をチェックするには例えば∀xP(x)が真か偽か知りたければ,ある自然数nに対してP(n)が偽なら,そこで停止するプログラムを実行するとき,P(0),P(1),P(2),…とチェックして行く訳だがその実行がいつかは停止して∀xP(x)の反例が見つかり偽であると分かるが反例がない,つまり∀xP(x)が真なら,プログラムの実行は停止しないがいつまで待っていても停止するかどうかは分からない。そこで反例探索プログラムe(0)に対してサブルーチンA(0)(e(0))を用いると,停止性が判定できるから∀xP(x)や∃xP(x)の真偽が判定できる。∀x∃yP(x,y)(Π2文)や∃x∀yP(x,y)(Σ2文)だと前者なら,各自然数nに対して∃yP(n,y)をチェックして行き,これらが全て真なる事を知る必要があるからサブルーチンA(0)(e(0))を含むプログラムe(1)の実行の停止性判定が必要だからサブルーチンA(1)(e(1))を含むプログラムと実行が必要になる。∀x∃y∀zP(x,y,z)(Π3文)や∃x∀y∃zP(x,y,z)(Σ3文)ではさらにサブルーチンA(2)が必要。以下,同様。またP(0),P(1),…,P(n),…が全て証明可能なら∀xP(x)が証明されると言う無限論理の規則はω規則と呼ばれるが,無限の証明部分を関数で有限化したい。∀x∃yP(x,y)は驪に対してP(x,y)を真とする最小のyを対応させると関数y=f(x)が考えられるが逆に∀xP(x,f(x))が真となる関数が各自然数xに対するチェックを代行すると思ったのが関数をメインにPAの冠頭標準形(prenex forms)を分析しようとするきっかけでした。2012年1月の試論は上の停止性判定ルーチンによる真偽の判定とさほど変わらない強い仮定で関数による解析への拘りで書かれています。Πn文その他の用語に誤りがあります。PAcompleteに関しては基礎論的には40年くらい前に決着したテーマです。この試論のPAシリーズはそう言った文献は無視して,誤りも気にせず,逐次近似的に自分が考え続けるために書いています。最近は,3ヶ月ほど前に自然数上の全域関数〓無限2進数列〓0,1区間の0を除く実数全体Iと言った簡単な対応に気づいて自然数上の全域関数集合の対角線論法による拡大やIの点集合としての閉包をとる事による拡大。自然数上の関数合成に関して閉じた集合について関数a(b(x))と関数a,bに対応するIの実数の非可換な掛け算の定義とかを考えています。PDFファイルの意図はPAの述語をΔ0文の張り合わせの一種とみなしたとき単なるΔ0文(このΔ0も真偽が明確な文集合で置き換えてもよい)の張り合わせと一般的な自然数上の全域関数集合による張り合わせでできるprenex forms を対象とした解析をする事でした。関数集合Cは一般的に取り替え,先では実際の数論に応用できればと願っています。或いは直接的には非再帰的(可算)述語を描く事などです。PDFファイルは再帰的全域関数を枚挙する関数として非再帰的なy=A(x)なる関数を仮定していますが変数の増加に従いA再帰的全域関数を枚挙する関数A'。更に…とやり,TΠn(TΣn)の定義文の関数tはやはり,A'再帰的全域関数,A''再帰的全域関数…と段階的なものに置き換える事で修正されるとは思います。最初の普通のプログラムの実行での停止性判定ルーチンA(0)の添加,次にプログラムにA(0)サブルーチン呼び出しを含むプログラムの実行の停止性判定ルーチンA(1)の添加,…と同様だと思います。暫定的に再帰的全域関数の全体集合から始める事にしたのですがPAcompleteに絞ればはるかに精緻な結果があるためCを取り替えて人工的な仮定が消去したり出来ないと既存の結果を薄めて,アプローチを変えただけになります。

pdfファイルへのリンク→on_truth.pdf(2013.8.23 記)

pdfファイルの反省(2013.9.8 記)

他にも非再帰的関数でPAの命題で表せるものなどエラーの原因はあるでしょうが取り敢えずPDF ファイルの反省。何となくパラドキシカル?

エラーは2変数以上で起こりうる。 述語P(x,y)をΔ0へ分解するとP(m,n)(m,nは共に自然数全体)これを順序づけられたΔ0文の並び(順序づけが其なりに難しい)から再構成する。その1.P(0,0),P(0,1),P(1,0),P(0,2),P(1,1),P(2,0),……の順番でΔ0の中から探す。これはプログラムに従った操作だから再帰的。無限の過程が要るができるはず。よってある再帰的全域関数で収集可能に見える。(m,n)についてm+nが小さいほど小さい。m+nが同じならmが小さいほど小さい。この順序で(x,y)は何番目かと言うと1からx+yまでの和+x+1番目。(x,y)にこの番号を対応させるのが対関数PでP;N×N→N,Pは逆関数を持つ。再帰的全域関数全体はA(m)で枚挙されて要するに再帰的全域関数(1変数しか考えないのは先の対関数で1変数の場合を考えれば十分だから)全体はy=A(m)(x)(mは自然数全体)この順序で探すと。述語P(x,y)はある自然数kについてP(m,n)はA(k)(P(m,n))番目のΔ0文になっている。PAの全ての述語はすべからくこのようにΔ0文全体から,再帰的に集められる。一方,PAのprenex formsを考える場合,帰納法を使いたいからP(0,0),P(0,1),…、P(1,0),P(1,1),…,…P(m,0),P(m,1),…、…と収集する。P(m,0),P(m,1),… はΔ0文からA(f(m))(x)により,P(m,n)がA(f(m))(n)番目のΔ0文。y=f(x)は収集する のにパラメーターmに依存してy=A(f(m))(x)を選択する。m毎にf(m)番目の再帰的全域関数A()を選ぶと言う事だが,Δ0文のどれを選ぶかはプログラム可能だから再帰的だが同じ選択をする全域関数がf(m)番目と言うときには一応,どの再帰的全域関数が適当かはプログラム可能でよってf(m)なる関数も再帰的。自然数m全体に渡りA(f(m))を収集する。y=f(x)も再帰的全域関数だからじつはある1つの自然数kによりA(k)と同じ。だからP(m,0),P(m,1),…はy=A(Ak(m))(x)で収集される。 P(m,n)はA(A(k)(m))(n)番目のΔ0文となる。一般にP(x,y)はA(A(k)(x))(y)番目のΔ0文。さて最初の収集法だとP(x,y)はA(k)(P(x,y))番目のΔ0文、後の方ではA(A(j)(x))(y)番目のΔ0文。ゆえにA(k)(P(x,y))=A(A(j)(x))(y)。Pも再帰的全域関数だから,両辺共に再帰的全域関数であろう。 ところでA(j)(x)=xだったとするとA(x)(y)は再帰的な2変数関数。y=xとおくとz=A(x)(x)+1も再帰的全域関数のはずだがどのnをとってもA(n)(x)=A(x)(x)1はx=nで不成立。だから,A(A(j)(x))(y)は場合によっては非再帰的で,A(k)(P(x,y))=A(A(j)(x))(y)を満たす左辺は存在しない場合がある。ところで,非再帰的な可能性のある右辺は,非再帰的な関数z=A(x)(y)は非再帰的全域関数だから(再帰的全域関数全体を枚挙する再帰的全域関数は存在しないから),A再帰的と言うのはAを初期関数に加えた再帰的関数システム(プログラムではサブルーチンとして使ってよいことにしたシステム)だからA(k)(P(x,y))=A(A(j)(x))(y)の右辺はA再帰的全域関数だから上の等式がいつも成り立つようにするにはA再帰的全域関数全体を枚挙する非再帰的関数を導入する必要がある。 でないとEAでの議論が破綻する。かくして変数が増加する度に新たなAを導入する必要がある。他の部分が大丈夫ならこの反復的な新たな非再帰的関数の追加で所望の結果を得る。昨年1月の試論を見て頂くと用語や別解の関数定義文に誤りはあるが,確かに変数が増える度に新たなオラクルを追加している。真だが証明不可能な命題の真なる事を保証する計算の追加と言う存在論的で具体性を欠くオラクルではあるが。今後は寧ろC(PDFファイルのRemark参照)として大きな関数集合を取る方向で,手始めにCとして自然数から自然数への全域関数全体を取る場合で試みる。Δ0

ペアノ算術の拡大体系における命題の真定義と完全性について( 修正版)(2013.8.12 記)

概要;ここで考える拡大体系(EAと呼ぶ)はPAに再帰的全域関数の関数定義文のゲーデル数全体を枚挙する非再帰的全域関数y=A(x)の存在を公理として加えたものである。再帰的全域関数が頻出するからここではrt関数と記す。またrt関数全体をRtと記す。EAでは非再帰的全域関数y=A(x)により,全てのrt関数はy=fn(x)(n=0,1,…)と順序づけられる。rt関数fn毎に1つのPAの関数定義文∀x∃!yPn(x,y)(〓y=fn(x))を1つ選ぶ事にする。A(n)=(y=fn(x)の定義文∀x∃!yPn(x,y)(〓y=fn(x))のPAにおけるゲーデル数)によりrt関数は枚挙される。追加された命題は真なるΠ2文∀x∃!yP(x,y)の全体に含まれるから無矛盾性は保たれる。また真なるΠ2文∀x∃!yP(x,y)の全体を公理として採用しても良いがここでは上に述べたようにrt関数fn毎に1つの関数定義文を選ぶ事にする。rt関数全体はre集合ではないがEAではy=A(x)の存在から(相対的に)re集合になる。更にrt関数を用いて拡張された冠頭標準形を定義する。ここではEAは公理化されてはいない。PAにおいて最も基本的な部品はΔ0(=Π0=Σ0)文である。Δ0文全体,真なるΔ0文全体,偽なるΔ0文全体のゲーデル数は各々,再帰的可算集合であり各々ある関数d,d・t,d・fで枚挙される。d,t,fは全てrt関数。EAにおいてはΠ1,Σ1文はΔ0文をrt関数で収集したものであり,真なるΠ1文は真なるΔ0文の収集で尽くされ,真なるΣ1文は少なくとも1つの真なるΔ0文を含むΔ0文の収集で尽くされる。Π2はΣ1文の収集,Σ2はΠ1文の収集,以下同様にEAでの冠頭標準形を定める。例えば上の関数dとrt関数gをとり,d・gと収集したΠ1文の真偽は真なるΔ0文を枚挙する固定されたrt関数d・tについてd(g(x))=d(t(h(x)))(恒等的)なるrt関数hが存在するか否かで決まる。rt関数全体はEAでは枚挙可能であるから上の等式を満たすrt関数hを順番に全て確認出来る。問題は同一のrt関数が多くのΠ2文で定義される事だがそれは以下で述べるようにy=0(恒等的)の関数定義文の定義で解決される。以上が本論でのEAの命題の真定義と与えられた命題の真偽の決定のシナリオである。自然数全体の再帰的部分集合全体を指定する事がこのシナリオの要点だから再帰的(全域とは限らない)関数の値域が無限集合であるもの全体を取っても同じようなシナリオで同じ結果を得る。しかし,再帰的全域関数全体を取る方がより単純であろう。

    

本文;(定義1)命題集合Sが再帰的可算として再帰的単射G;S→N(Nは自然数全体)があればa∈Sのゲーデル数とはG(a)を指す。G(S)を枚挙するrt関数をe(S),Sの真命題全体をTSとするとき集合Nt={n|e(S)(n)∈TS}を枚挙する関数をtとおくとe(S)・tはG(TS)を枚挙するrt関数,Sの偽命題の全体をFSとおくとき集合Nf={n|e(S)(n)∈FS}を枚挙する関数をfとおくとe(S)・fはG(FS)を枚挙するrt関数。真命題がreならtもrt関数,偽命題がreならfもrt関数になる。またPAとEAのゲーデル数は異なるがどちらについても単に命題集合Sから自然数への再帰的単射として命題φに対してそのゲーデル数をG(φ)で表し,ゲーデル数gから元の式への復元をR(g)で表す。従ってe(S);N→G(S)(単射),R(G(Φ))=Φ。

(定理1)EAにおいて冠頭標準形の真命題が定義され,与えられたEAの冠頭標準形の真偽は決定可能である。

(証明)結果はほとんどEAの定義に依存するから概要の細部を埋めれば十分であろう。冠頭標準形について先ずEAのΔ0(=Π0=Σ0)文はPAのそれと同じである。EAにおけるn≧1に対するΠn,Σn文は,nに関して帰納的に定義するがΠn,Σn文全体を各々,Πn,Σnとおく。(定義1)のSにΠn,Σnを各々おいて得られる定義はそのまま用いる。EAのΠn,Σn文はPAのそれとは異なるが,命題集合Πnから自然数への再帰的単射Gが存在するから,(定義1)に従ってΠn文のEAにおけるゲーデル数全体をG(Πn),真なるΠn文のゲーデル数全体はG(TΠn),偽なるΠn文のゲーデル数全体はG(FΠn),Σnに関しても同様(ΠをΣに替える)に定義する。 Πj+1(fm)≡∀xR(e(Σj)・fm(x))とおくときΠj+1={Πj+1(fm)|fm∈Rt},Σj+1(fm)≡∃xR(e(Πj)・fm(x))とおくときΣj+1={Σj+1(fm)|fm∈Rt}と定義する。PAのΠ1,Σ1文は適当なrt関数fmを取ればEAにおいてΠ1(fm),Σ1(fm)と解釈できる。n≧2に対してもPAのΠn,ΣnはやはりEAでの解釈を持つ。TΠ1={Π(t・fm)|fm∈Rt}と定義される。e(Δ0)・tはTΔ0のゲーデル数,即ち,G(TΔ0)の要素を枚挙するrt関数。一般に,各自然数nについてB(n,j)={fm∈Rt|e(Πj)(fm(n))∈G(TΠj)かつe(Πj)(fm(n))∈G(FΠj)(k<n)}とおくときBj=∪n<ωB(n,j)とBjを定義するとTΣj+1={Σ(e(Πj)・fm)|fm∈Bj},TΠj+1={Π(e(Σj)・t・fm)|fm∈Rt}と定義する。FΣnはTΠnの否定,FΠnはTΣnの否定として得られる。従って,各々の集合は(公理y=A(x)の存在により)re集合。特にfm∈B(0,0)なるTΣ1の部分集合を枚挙するrt関数をe(Σ1)・t0とする。真なるΠ2文は任意のrt関数fmに対してTΠ2={Π(e(Σ1)・t・fm)|fm∈Rt},特に部分集合TΠ2(0)={Π(e(Σ1)・t0・fm)|fm∈Rt}と定義するとTΠ2(0)は関数y=0(恒等的)の関数定義文全体になる。EAにおいて2つのrt関数P,qについて(P−q+|p−q|)/2もrt関数だがその関数定義文がTΠ2(0)に含まれる場合,P=q(恒等的)であり異なる関数定義文を持つ同一のrt関数が識別可能となる。以上でEAの真なる文は定義されるが,逆に与えられた文が真か偽か判定するには,例えば与えられたΠ1文Φに対してrt関数Jが定まりJ=t・hを満たすrt関数hが存在するならΦは真,存在しなければ偽である。Σ1文ならrt関数JがBに属すかやはりBの関数との一致を示す問題になる。一般にEAでの証明の基礎となるΔ0文以外は2つのrt関数の同一性を示す問題になる。EAではrt関数全体がre集合になるから(公理;関数y=A(x)の存在のため)真なら等式を満たすrt関数がいつか見つかり,偽なら否定文に対応する同様のrt関数がいつか見つかる。EAでは真なるΠn,Σn文がre集合をなすから,上のΠn,ΣnからΣm,Πm(m=n+1)への帰納法で示される。 (証了)

後記;筆者は停止問題の解決について次のような視点からの進歩に期待を持っている。計算機でプログラムを走らせる際,計算機自身はその物理工学的原理に従って動作するだけだから動作を規定する微分方程式等から時刻tでのメモリ値がM(t)とtの関数として定まり,M(t)→α(t→∞)(これが分かる事は計算時間が無限に速い事を意味する)から停止か否かが判明すること。ここで計算機はむしろ数学的に定義されたものでその固有の数学的性質から負わされた計算の停止問題に情報をもたらす状況を望む。

ペアノ算術の拡大体系におけるペアノ算術の真定義と完全化についてT(修正版)(2013.8.5 記)

概要;本論の目的はPA(ペアノ算術)のある拡大体系(EAと呼ぶ)において真なる命題を定義し,与えられたEAの命題の真偽の判定の可能性を示す事にある。EAは大雑把に言えばPAに再帰的全域関数の全体とΣn,Πn(n≧1)に特別な解釈を加えたものである。

本文;(定理)EAにおいてPAの真命題が定義され,EAにおいてはそれらが証明を持つ。結果はほとんどいかに定義するかに依存するからそのアウトラインを以下に述べる。EAは初期関数として全ての再帰的全域関数とその定義文を公理として持つ。より明確に言えばEAにおいて再帰的全域関数はy=fn(x)(n=0,1,…)と順序づけられ各自然数nについてAx(n)=fnの定義文のゲーデル数なる関数が存在する。EAの述語としてxはある再帰的全域関数の関数定義文のゲーデル数のときのみ真となる述語A(x)の存在を要請する事はEAが再帰的全域関数全体を公理として持つ以上自然である。従ってA(x)の存在からxに全ての命題のゲーデル数を代入して行き,真であるxを順に取りだして行けばEAでは再帰的全域関数y=Ax(x)により再帰的全域関数定義文のゲーデル数を枚挙出来る。だから再帰的全域関数の全体は再帰的可算集合ではないが,EAでは再帰的可算集合として扱える。再帰的全域関数y=f(x)はPAにおいてはある再帰的述語φが存在してy=f(n)(数値毎に)はφ(n,y)が証明可能の形に表現可能であるがこのようなφ(x,y)を1つ選びこれを∀x∃!yφ(x,y)の形で公理として採用すると言うことである。全ての命題の中からこのようなΠ2文を公理として取り出して行く事で再帰的全域関数の関数定義文が枚挙出来ると言うのが上に述べた再帰的全域関数全体のEAでの再帰的可算集合化及び述語A(x)の存在の根拠になる。これは各自然数n毎の表現可能定理に対してω規則を適用したとも言える。但し,本論でのω規則の適用はこの形の適用に限定する。追加された命題は真なるΠ2文∀x∃!yφ(x,y)の全体に含まれるから無矛盾性は保たれる。また真なるΠ2文∀x∃!yφ(x,y)の全体を加えても良いがここでは再帰的全域関数f毎に1つ選ぶ事にする。Δ0文はPAと同じものをもつがn≧1に対するΣn,Πn文はEAでは次のように定義される。先ずはΠ1,Σ1を定義する。自然数全体NからΔ0文のゲーデル数全体への単射をG,ゲーデル数から元の式への復元をRとする。TΔ0={n|R(G(n))が真},FΔ0={n|R(G(n))が偽}とするとき,TΔ0,FΔ0の各要素を枚挙する関数をそれぞれt,fとする。G,t,fは再帰的全域関数。R(G(x))も原始再帰的。真なるΔ0文のゲーデル数全体をTとおくとTの要素は関数y=G(t(x))で枚挙され,偽なるΔ0文のゲーデル数全体をFとするとFの要素は関数y=G(f(x))で枚挙される。任意の再帰的全域関数gについて,各自然数nについてA(n)〓R(G(g(n)))とするときEAのΠ1文,Σ1文はそれぞれΠg≡∀xA(x),Σg≡∃xA(x)と定義される。PAのΠ1,Σ1文は適当な再帰的全域関数hを取ればEAにおいてΠh,Σhと解釈できる。再帰的全域関数全体をRtとする。真なるΠ1文全体はTΠ1={Π(t・h)|h∈Rt}と定義される。t・hは2つの関数の合成関数を表す。以下でも同様に用いる。各自然数nについてB(n,0)={h∈Rt|h(n)∈Tかつh(k)∈F(k<n)}とおくときB0=∪n<ωB(n)とB0を定義すると真なるΣ1文全体はTΣ1={Σh|h∈B0}と定義される。EAは再帰的全域関数全体が具わっている事から真なるΠ1,Σ1文全体はそれぞれ再帰的可算化するから真なるΠ1文を枚挙する再帰的全域関数をa,偽なるΠ1文(真なるΣ1文の否定文)を枚挙する再帰的全域関数をa~とし,真なるΣ1文を枚挙する再帰的全域関数をb,偽なるΣ1文(真なるΠ1文の否定文)を枚挙する再帰的全域関数をb~,特にh∈B(0,0)なるTΣ1の部分集合を枚挙する再帰的全域関数をb0とする。それらの値は自然数でコード化,復元する事になるから,値そのものはhを再帰的全域関数としてΠh,Σhを直接的に取る事にする。真なるΠ2文は任意の再帰的全域関数hに対してTΠ2={Π(b・h)|h∈Rt},特に部分集合TΠ2(0)={Π(b0・h)|h∈Rt}と定義するとTΠ2(0)は関数y=0(恒等的)の関数定義文全体になる。EAにおいて2つの再帰的全域関数P,qについてP−qも再帰的全域関数だがその関数定義文がTΠ2(0)に含まれる場合,P=q(恒等的)であり異なる関数定義文を持つ同一の再帰的全域関数が識別可能となる。真なるΣ2文もΣ1の時と同様,各自然数nについてB(n,1)={Σα・h|α・h(k)=a~(h(k))(k<n)かつα・h(n)=a(h(n))かつα・h(k)=c(h(k))(n<k)}ここでcはΠ1文を枚挙する再帰的全域関数。B1=∪n<ωB(n,1)として真なるΣ2文全体はTΣ2={Σ(α・h)|h∈Rt}と定義される。n≧3に対してΠn,Σnの真なる文は同様に定義される。以上でEAの真なる文は定義されるが,逆に与えられた文が真か偽か判定するには,例えば与えられたΠ1文Φに対して再帰的全域関数Jが定まりJ=t・hを満たす再帰的全域関数hが存在するならΦは真,存在しなければ偽である。Σ1文なら再帰的全域関数JがBに属すかやはりBの関数との一致を示す問題になる。一般にEAでの証明の基礎となるΔ0文以外は2つの再帰的全域関数の同一性を示す問題になる。EAでは再帰的全域関数全体が再帰的可算化するから真なら等式を満たす再帰的全域関数がいつか見つかり,偽なら否定文に対応する同様の再帰的全域関数がいつか見つかる。EAでは真なるΠn,Σn文が再帰的可算集合をなすから,Δ0をΠn,Σnに替えてΣm,Πm(m=n+1)が帰納法で示される。 (了)

後記;筆者は停止問題の解決について次のような視点からの進歩に期待を持っている。計算機でプログラムを走らせる際,計算機自身はその物理工学的原理に従って動作するだけだから動作を規定する微分方程式等から時刻tでのメモリ値がM(t)とtの関数として定まり,M(t)→α(t→∞)(これが分かる事は計算時間が無限に速い事を意味する)から停止か否かが判明すること。ここで計算機はむしろ数学的に定義されたものでその固有の数学的性質から負わされた計算の停止問題に情報をもたらす状況を望む。

ペアノ算術の拡大体系における真定義と完全化について(2013.7.29 記)

概要;本論の目的はPA(ペアノ算術)に再帰的全域関数の全体を公理として加えた拡大体系(EAと呼ぶ)においてPAのスタンダードモデルで真なる命題の完全な導出の可能性を示す事にある。

本文;EAにおいてPAの真命題が定義され,EAにおいてはそれらが証明を持つ。結果はほとんどいかに定義するかに依存するからそのアウトラインを以下に述べる。再帰的全域関数y=f(x)はPAにおいてはある再帰的述語φが存在してy=f(n)(数値毎に)はφ(n,y)が証明可能の形に表現可能であるがこれを∀x∃!yφ(x,y)の形で公理として採用する。(真なるΠ2文∀x∃!yφ(x,y)の全体を公理に加えるとも言えるから無矛盾性は保たれる。また各自然数n毎の表現可能定理に対してω規則を適用したとも言える。但し,本論でのω規則の適用はこの形の適用に限定する。)このPAの拡大体系をEAと呼ぶ事にする。再帰的全域関数全体は再帰的可算集合ではないが,各再帰的全域関数の公理への導入に従ってそれらのPAでの関数定義文∀x∃!yφ(x,y)の形のΠ2文全体を公理として加える事になるからそれらの命題のゲーデル数の小さいものからそれらのゲーデル数を枚挙する関数を考えるとEAにおいては再帰的全域関数全体が再帰的可算集合化する。(必要なら公理であるを意味する述語EA(x)を加え,xが全ての文の系列において追加したΠ2文のゲーデル数に対してのみ真,他の文のゲーデル数に対して偽をとるとする)真なるΣ1文の証明はΣ1文全体の再帰的可算性からそれらを∃xS(n,x)(nは自然数)と並べ(m,n)∈ω×ω〓ωの対応を与えるカントールの対関数の順序に従ってS(m,n)全体の真偽をチェックすると真なるΣ1文全体を順次得る。そのゲーデル数が真なるΔ0文ゲーデル数集合に含まれる事がEAでの証明になる。真なるΠ1文の定義とその導出は次に述べられるように異なる2つの定義を持つ再帰的全域関数の一致を示す事で遂行される。自然数全体からΔ0文のゲーデル数全体への単射をG,ゲーデル数から元の式への復元をRとする。G(0),G(1),…から真なるもののxを順にT(0),T(1),…とすると真なるΔ0文のゲーデル数はG(T(0)),G(T(1)),…と枚挙される。任意の再帰的全域関数gに対して各自然数nについてA(n)〓R(G(g(n)))としたときΠ1文,∀xA(x)に関数gを対応させる。Π1文にはそれぞれの再帰的全域関数が対応する。また真なるΠ1文には再帰的全域関数hが存在してTohが対応する。gが対応するΠ1文が真であるための条件はg(x)=T(h(x))(恒等的)を満たす再帰的全域関数hが存在する事である事は定義から従う。EAは再帰的全域関数全体が具わっている事から証明は以上の再帰的全域関数の条件をそのまま実行する事になる。以上でΠ1,Σ1の真の定義及びEAでの証明は完了する。EAでは真なるΠn,Σn文が再帰的可算集合をなすから,Δ0をΠn,Σnに替えてΣm,Πm(m=n+1)が帰納法で示される。 (了)

後記;筆者は停止問題の解決について次のような視点からの進歩に期待を持っている。計算機でプログラムを走らせる際,計算機自身はその物理工学的原理に従って動作するだけだから動作を規定する微分方程式等から時刻tでのメモリ値がM(t)とtの関数として定まり,M(t)→α(t→∞)(これが分かる事は計算時間が無限に速い事を意味する)から停止か否かが判明すること。ここで計算機はむしろ数学的に定義されたものでその固有の数学的性質から負わされた計算の停止問題に情報をもたらす状況を望む。

(2013.6.23 記)

PAの完全化( 真なる文全体を得る事) の筋書き

先ず,証明可能な文のうちのΠ0文(真なるΔ0文と可証なΔ0文は一致するから)の集合は再帰的可算だから,その無限部分集合の要素を指定する全域関数を考え,真なるΠ0文を集めて真なるΠ1文を尽す。PAで表現可能な真なるΠ1文はこの収集で尽される筈である。また真なるΣ1文は証明可能だがこの集合も再帰的可算。この無限部分集合を上のように要素を指定する全域関数を用いて収集し,真なるΠ2文を尽す。真なるΠ1文のコレクションから真なるΣ2文全体が収集出来る。真なるΣ2文から全体から真なるΠ3文を,また真なるΠ2文全体から真なるΣ3文全体を収集する。この操作を帰納的にやればPAの真なる文全体が得られ,PAは完全化する。かくして当初の目的は終わる。可証な集合全体から可証なΔ0文及びΣ1文のそれぞれの全体集合の再帰的部分集合の要素を収集するため,自然数全体の部分集合の要素を数え上げる再帰的全域関数を用いる。それらの再帰的全域関数(再帰的を超える部分集合が必要なら再帰的を超えて全域関数を収集する事も下記の対角線論法を超限無限回数を増やすだけだから可能だが再帰的で十分であろう)全体は対角線論法の超限帰納法的適用で収集する。にも拘わらず真なるΠ2文を収集する必要性は同一の再帰的全域関数を定義する2つのΠ2文の同値性が必ずしも可証ではないからである。

先ほどのメールについて

PAの完全化には幾つもシナリオがあるようですが,結局,自分流に考えました。代数学の基本定理みたいな位置づけにある結果なんでとりあえず自身の証明が必要でした。チェックして概略正しければ次に進みたいと思っています。多少,基礎論を勉強したついでにも少しそちらのルートで進めたい所も有りますが,漸く,全く別のより個別的な問題へのアプローチが出来ればと思っています。

筋書きへのコメント

PAでは任意のxに対しA(x)が成り立つという形の命題は帰納法で証明出来ないとどのnでA(n)が真でも証明不可能になる。あるxでA(x)が成り立つのほうは真ならあるnでA(n)が真と言えるはずだからこちらは(Σ1命題と呼ばれています)真なら証明可能。先の命題はΠ1文と呼ばれてますが真なるΠ1文全体をどうやって決めるかですが∀xA(x)が真ならA(0),A(1),…それぞれは真命題として証明可能な命題としてある関数で他のB(k)とかと交じって並べられています。変数なしの∀や∃もなしの文はΔ0文と呼ばれてますがこの真なるΔ0文の無限部分集合をある関数で順番に並べて行くとn番目はPnみたいに並べられますがPnをQ(n)にしてしまうと∀xQ(x)(任意のxでQ(x)が真)が成り立つ。部分集合全部に対して上の形のΠ1文を作るともし∀xA(x)が真ならその中に含まれる。ここで部分集合全部じゃなく再帰的関数で要素が枚挙できる位の部分集合全部で真なるΠ1文は尽せる筈です。(要証明,このあたりを詰める作業が残ります)だからΠ1文∀xA(x)の真偽判定は難しいが真なるΠ1文∀xA(x)全体は決められるからこの中に与えられたΠ1文があるか探してもらうと原理的には見つかる筈で最初の可証命題の番号は自然数全体ですが部分集合を指定する全域関数が再帰的だと見つけるアルゴリズムが一応見つかるが再帰的全域関数全体は再帰的可算じゃないのでかなり運が良くないと見つからないです。次に再帰的全域関数全体を対角線論法で追加して行くときどこで反復拡大が止まるのかは超限帰納法でそのような関数全体を獲得するまで今の僕には不明ですが何なら実数無限の手前までやれば良いから再帰的全域関数全体を含む関数集合は獲得できるからどこまでやれば再帰的全域関数全体ピッタリになるか判れば良いとは思っていますから少しは考えないとダメな部分でチェックの対象に入ります。 後は,昨年1月に掲載したレポートの帰納法はスコーレム関数を用いてましたがそれが本当にに要るのかのチェックですね。昨年のは関数をフルに使いたいからΠ2,Π1みたいな不自然な流れが今回はPA命題の扱いはΔ0,Σ1,Π1,Σ2,Π2,…と帰納法で流れ,部分集合の要素指定に用いる(先ずは真なるΠ1文の収集に使う)全域関数の集合定義は対角線論法の無限反復使用を超限帰納法で示すと言う形になります。PAの有限部分に関する命題のYES,NOは本来一意的である事がPAに限定する理由の1つです。自然数のPAでの問題は幾つかの問題(平行線公理や連続体仮説など)みたいにどれも正当な複数解はなく証明可能性はともかく本来的には一意的な答えに行き着くだろうと言う直感ですね。さて,始まりのナカザワプログラムは停止性判定問題が計算を担うシステム側の構造で決められるのではないかと言う期待ですが,時刻をパラメーターとするメモリ値は計算論的には計算不可能。だから出発点となる概念は計算不可能なものが必要で初期概念から相対的に計算可能な形になると思います。個別的な問題では計算不可能な概念がどこかに潜む事になっているように思います。

(2013.6.23 記)

コジマヒロユキ氏のブログの問題より,かなり以前で2009 年10月のメールです。

《命題》U={1,2,…,N}(N=1978)とおく。Uを互いに共通部分のない6個の部分集合に分割し,U=A(1)∪…∪A(6)とするこのときあるA(k)は次の性質を持つ。(1)a,bをA(k)のある要素とするとき2×aまたはa+bはA(k)に含まれる。

《証明》結論を否定して矛盾を導く。A(1),…,A(6)のなかで要素数最大の集合の1つを必要なら番号を付け替えることによりA(6)={a1,…,an}とできる。a1<…<anとするとき鳩ノ巣原理よりn≧330。仮定よりi<jならば.aj−aiはA(6)に含まれない。B(6)={aj−a1}(2≦j≦n)はn−1個の要素はA(6)以外の5個のA(k)のいずれかに含まれ,最も多くの要素を含むA(k)の1つを上と同様A(5)とできるが,B(6)∩A(5)=A'(5)={a'1,…,a'm}(a'1<…<a'm)について鳩ノ巣原理よりm≧66。また仮定よりi<jならば.a'j−a'iはA(6)∪A(5)に含まれない。B(5)={a'j−a'1}(2≦j≦m)に対して同様の操作で,A(6)∪A(5)∪A(4)に含まれない16個以上の要素を持つB(4)をA(6)∪A(5)∪A(4)∪A(3)に含まれない5個以上の要素を持つB(3),そしてA(6)∪A(5)∪A(4)∪A(3)∪A(2)に含まれない2個以上の要素を持つB(2)を得る。B(2)から異なる2つの要素a,bをとると(a>b),a−bはどのA(k)にも含まれず矛盾。《証了》

簡単化

《命題》U={1,2,…,N}(N=16)とおく。Uを互いに共通部分のない3個の部分集合に分割し,U=A(1)∪A(2)∪A(3)とする。このときあるA(k)は次の性質を持つ。(1)a,bをA(k)のある要素とするとき2×aまたはa+bはA(k)に含まれる。

《証明》結論を否定して矛盾を導く。A(1),A(2),A(3)のなかで要素数最大の集合の1つを必要なら番号を付け替えることによりA(1)={a1,…,an}とできる。a1<…<anとするとき鳩ノ巣原理よりn≧6だがn>6なら6より先を捨ててn=6とする。仮定よりi<jならば.aj−aiはA(1)に含まれない。B(1)={aj−a1}(2≦j≦6)の5個の要素はA(1)以外の2個のA(k)のいずれかに含まれ,最も多くの要素を含むA(k)の1つを上と 同様A(2)とできるが,B(1)∩A(2)=A'(2)={a'1,…,a'm}(a'1<…<a'm)について鳩ノ巣原理よりm≧3再びm=3とできる。また仮定よりi<jならば.a'j−a'iはA(1)∪A(2)に含まれないからB(2)={a'j−a'1}(2≦j≦3)の要素はA(3)に含まれる。B(2)は2個の要素を持つ。B(2)から異なる2つの要素a,bをとるとa,b,a−bはA(3)に含まれ,b=(a−b)+bから矛盾を得る。《証了》

これ以上ない簡単化

《命題》U={1,2,…,5}とおく。Uを互いに共通部分のない2個の部分集合に分割し,U=A(1)∪A(2)とする。このときあるA(k)は次の性質を持つ。(1)a,bをA(k)のある要素とするとき2×aまたはa+bはA(k)に含まれる。

《証明》結論を否定して矛盾を導く。A(1),A(2)のなかで要素数最大の集合の1つを必要なら番号を付け替えることによりA(1)={a1,…,an}とできる。a1<…<anとするとき鳩ノ巣原理よりn≧3だがn>3ならa4以降を捨ててn=3とする。仮定よりi<jならば.aj−aiはA(1)に含まれない。B(1)={aj−a1}(j=2,3)の要素はA(1)以外のA(2)に含まれる。B(2)から異なる2つの要素a,b(a>b)をとるとa,b,a−bは実際はaj−ai(i<j)の形に表せA(1)に含まれないからA(2)の要素であり,b=(a−b)+bから矛盾を得る。《証了》

同じ論法で成り立つこと

nヶ国,a(n)人で同様の命題が成り立つためにはa(1)=2,a(n+1)=(n+1)a(n)+1を満たしていれば同じ論法で保証される。6ヶ国だと1957人いればよい。a(n)=n!×(2+1/2+1/(3!)+…+1/((n−1)!))≦n!×e。即ちN≧n!×eであればnヶ国,N人で同じ命題が成り立つ。この間の期待値に続いてまたe(自然対数の底)が出てきたのは面白い現象ですね。

98年後期東大〓補足の不変量もどきが頭にあれば実はむしろ易しい感じです。(2012.4.4 記)

問,最初は白玉1つ。次の規則に従い白または黒玉よりなる横一列の並びを作る。その際,全て白玉よりなる並びは3kまたは3k+1個の玉よりなるものに限る。規則1,既に置かれた隣接する玉の間に白玉を挿入すると左右の玉の色が逆になる。規則2;両端のいずれかに白玉を挿入する時,左端の左側に隣接して置く時は元の左端の玉の色のみ逆になる。右端の場合も同様。以上挿入する玉は白玉のみで元の隣接する玉の間または左端に隣接する左側,右端に隣接する右側のみに置ける。

解;黒玉がn−1個ある並びについて左側から見て最初の黒玉の左側の白玉の個数をmod3で考えたものをx1,最初の黒玉と次の黒玉の間の白玉の個数mod3をx2,…等々,そして最後の黒玉の右側の白玉の個数mod3をxnとし,上の玉を並べる規則をmod3に移して考える。即ちあるxk=0(mod3)ならxkは0を含む3の倍数全ての場合があり得る。他も同様。その状態をX=(x1,…,xn)で表し(n=1の時は黒玉なし),これに次の量I(X)≡x1−x2+x3−…+xn(nが奇数),x1−x2+x3−…−xn−1(nが偶数)(いずれもmod3)を対応させる。X=(0,1)または(1,0)から始め上の規則でX1からX2に変形した時I(X1)=0,1mod3ならばI(X2)=0,1mod3が成り立つ。ゆえに全て白玉にした時の最終形をYで表すとI(Y)=0,1mod3となる。

追記;I(X)の定義は実際に黒玉を右側に寄せて白玉にする操作を黒玉が偶数,奇数の場合に考えると出てくる。例えば黒玉が偶数の時は左から2k−1番目の黒玉を2k番目の黒玉に寄せて2個並べた間に白玉を挿入する。黒玉が奇数の時は上の操作に加えて,一番右側の黒玉を右側いっぱいに寄せてその右に白玉を置いて白玉のみにする。それら白玉のみの総数をmod3で考えると上のI(X)の定義が出る。逆方向に黒玉を寄せて消すを考えるとI同様の量Jが得られるがn≧2だとJ(X)=1−I(X),但しn=1のときはJ(X)=I(X),n=1(最後)だけ形が変わる。これがI(X)を優先する1つの理由。黒玉が残っているときの白玉の総数は一般にI(X)と一致しない(mod3で)が許された変形で取りうる値がmod3で0か1で2は取らない事が(言えるのではないかと思ったのがI(X)を考えた理由)比較的簡単に分かる。そして最終の白玉のみの場合には白玉の総数mod3がI(X)と一致して0,1mod3が分かる。

補足;実は,上のI(X)の取り方はXを白玉のみに変形する手段を1つ決めておけば何でも良い。そのやり方で白及び黒玉の並びXを白玉のみに変形した時の白玉の個数をK(X)とおくとK(X)=0,1mod3になる筈。そこで変形規則のいずれかでXをYに変形したときXをどのように変形しても白玉のみの最終形の白玉の個数=0,1mod3となる筈だからXからYを経て,後は決まったやり方で白玉のみとやっても最終形の白玉の個数=K(Y)=0,1mod3となる筈だから。その意味ではこの不変量的なものを考えるというアイデアの下では融通がきく易しい問題とも言えるでしょう。ただ上に取ったI(X)は簡明で交代和はホモロジーを連想させますがそれでなくとも上手く行く筈ですからトポロジーとは直接的な関係は無いかも知れません。勿論,トポロジカルな見立てが立てばグラフへの応用がありそうに思います。

非再帰的全域関数の追加によるPAの完全化についてI(2012年1月10日 記)

概略;本論の目的はPAに可算個のPAの命題を満たす非再帰的全域関数全体を追加することにより,その拡大体系SにおいてPAの真命題が証明可能となる事を示す事にある。従って計算プログラムの停止問題もSにおいては決定される。簡単な例から始める。PAのΠ1文∀x∃yP(x,y)は関数y=f(x)があり,∀xP(x,f(x))を示すことで証明される。ここでは上のようにPAの真命題を充たす関数全体を作ることによりPAの完全化を試みる。そのような関数について言及するシステムとしてここでは再帰的関数論をとる。以下,単に関数システムというと再帰的関数論のシステムのこととする。ある再帰的述語A(x)に対して再帰的関数F(x)でA(n)が真ならF(n)=1,偽ならF(n)=0なるものが存在するからF(x)の定義域が自然数全体{0,1,2,…,n,…}でかつ常にF(x)=1であることは,F(x)(x=0,1,2,…,n,…)を計算するプログラムが停止しないことにより任意の自然数nについてA(n)が真なること即ち∀xA(x)が再帰的関数論のシステムで保証される。故に以下では関数システムにおいてまずは初期関数は標準的にとりPAの論理式を満たすが非再帰的全域関数をオラクルとして初期関数集合に加え続けることによりPAの真命題を証明可能にするという方針でPAを完全化する。本文;∀xA(x)をA(x)はxのみを自由変数とするPAの量化子を含まない再帰的述語とする。即ちΠ1文∀x∃y1A(x)だが述語A(x)を充足する(x,y1)においてy1の値は任意である場合である。またB(x,y)をxを入力としそのときA(x)が真なることを確認するプログラム(ゲーデル数e)に従う計算過程(A(x)が再帰的だから各自然数nに対してA(n)が真なら1,偽なら0をとる再帰的関数が存在するからそのような計算は明らかに存在する)のゲーデル数をyとするときyは出力として終点表示と変数y1=0を含むとする。(y1は任意だから最小の0をとるとする)このTMに対するクリーニの述語T1(e,x,y)をPAにおいて表現する述語とする。(eは無数にあるがその中の勝手な1つをとる) ∀xA(x)⇔∀x∃yB(x,y)…(★)は両辺がともに真かともに偽。よって公理として追加する。∀xA(x)がPAで証明されるならば∀x∃yB(x,y)はyが一意的に決まることからPAにおいて1つの関数y=f(x),より詳細には(e,y,y1)=(e,y,0)=f(x)を定義する。また∀xA(x)が真だが証明不可能なら∀x∃yB(x,y)において与えられたxに対しyが一意的,故に関数(e,y,0)=f(x)(eはプログラムのゲーデル数,yはeによる計算過程のゲーデル数)が存在するが∀x∃yB(x,y)はPAで証明不可能故に非再帰的であるがこれをPAの公理として追加する。同時に関数の初期関数集合にもオラクルとして加える。すると拡大されたPAでは∀xA(x)は証明可能となる。このような拡大を全てのxのみを変数とする再帰的述語A(x)全てに対して行うと∀xA(x)(Aは再帰的で量化子を含まない)に関しては完全になる。よって∃xA(x)はその否定を考えればやはり真なら証明可能となっている。この操作を反復して次の定理を得る。

定理;PAに可算個の非再帰的関数と同値形の公理(上の(★))を追加して拡大した体系においてPAは完全化する。

証明;PAのΠ1文∀x1∃y1θ(x1,y1)(ここでθはx1,y1のみを変数として(y1はなくてもよい)持つ量化子を含まない述語)に対し,与えられたx1に対し,θ(x1,y)が真なるかをy=0,y=1,…,y=n,…と調べθ(x1,m)が真なる最小のyを見つけるとy1=mを終点表示とともに出力するTMについての計算過程のゲーデル数yの終点表示から最終的にy1を取り出す。(上のA(x1)のようにy1を含まない場合y1=0と設定される)クリーニの述語T1(e,x1,y)を元に作る述語のPAでの表現をB(x1,y1)とすると上の同値式(★)と同様に∀x1∃y1θ(x1,y1)⇔∀x1∃y1B(x1,y1)を公理に追加する。右辺は真なら関数(e,y,y1)=f1(x1)を定義するが真だがPAで証明不可能のときこのような関数の存在を全て公理として追加してPAを拡大するとΠ1文に関しては完全になる。Σ1文に関しては否定がΠ1文だからΠ1文に関して完全ならΣ1文に関しても完全になる。n>1とし,n−1のときΠ1からΠn−1文に関しては完全となるPAの拡大が既になされているとする。Πn−1文∀x1∃y1…∀xn−1∃yn−1θ(x1,…xn−1,y1…yn−1)(ここにθはx1,…xn−1,y1…yn−1のみを自由変数に持ちかつ量化子を含まないいわゆる母式である)が真なる場合あるプログラムのゲーデル数eが存在し与えられた(x1,…xn−1)に対しx1に依存してy1が,x1,x2に対してy2が,…,x1,…xn−1に依存してyn−1が存在して,即ちスコーレム関数f1(x1)=(e,y,y1),f2(x1,x2)=(e,y,y2),…,fn−1(x1,…xn−1)=(e,y,yn−1)が定義されるとし入力(x1,…xn−1)に対し上の(y1…yn−1)を出力するプログラムのゲーデル数eに従う計算過程のゲーデル数をyとするとその計算のクリーニの述語をTn(e,x1,…xn−1,y)とする。yの終点表示から(y1…yn−1)を取り出す述語をB(x1,…xn−1,y1…yn−1)とする。∀x1∃y1…∀xn−1∃y1…∃yn−1θ(x1,…xn−1,y1…yn−1)⇔∀x1…∀xn−1∃y1…∃yn−1B(x1,…xn,y1…yn−1)は公理として既に追加されている。左辺が偽なら右辺も偽となる。左辺が真のとき右辺に従い関数(e,y,y1,…,yn−1)=F(x1,…,xn−1)であるが特にスコーレム関数(e,y,y1)=f1(x1),…,(e,y,y1…yn−1)=fn−1(x1,…xn−1)も同時に定義されている。これらは帰納法の仮定よりPAに存在すると公理に追加されている。さてΠn文Φ≡∀x1∃y1…∀xn∃y1…∃ynθ(x1,…xn,y1,…yn)について(α,β)∈ω×ωとして可算無限個のΠn−1文Φ(α,β)≡∀x2∃y2…∀xn∃y1…∃ynθ(α,…xn,β,…yn)を考える。帰納法の仮定よりこれらの真偽は全て定まっている。そこでTMはそれらの真偽情報は全て利用できるものとする。即ち,Πnを考える際にはΠk,Σk(k<n)で導入した非再帰的関数はオラクルとして初期関数に加え使用可能と考える。Φが真ならばαを固定してΦ(α,0),…,Φ(α,n),…で真なる最小のmをもつΦ(α,m)を見いだすTMがある。αを入力したとき上と同様なΦ(α,m)を計算するTMにΦ(α,m)に対する上に述べたTMのプログラムを加えて与えられたx1,…xnに対しn−1と同様にy1,…ynを計算するTMのプログラムeを作ることができる。以下n−1の場合と同様にB(x1,…xn,y1,…yn)が存在しθが真なる事を確認するTMが存在する。(y1はx1のスコーレム関数f1でy1=f1(x1)の形で決まることになる)これに対するクリーニの述語Tn(e,x1,…xn,y)(yは出力情報としてy1…ynを含む)を及び出力情報をPAにおいて表現する述語をB(x1,…xn,y1…yn)とする。∀x1∃y1…∀xn∃y1…∃ynθ(x1,…xn,y1…yn)⇔∀x1…∀xn∃y1…∃ynB(x1,…xn,y1…yn)を公理として追加すると左辺が真のとき右辺に従い関数(e,y,y1)=f1(x1),…,(e,y,y1…yn)=fn(x1,…xn)が定義される。これに対しても∀x1∃y1…∀xn∃ynθ(x1,…xn,y1…yn)が真でPAで証明不可能なら∀x1…∀xn∃y1…∃ynB(x1,…xn,y1,…,yn)を公理として追加する。即ちスコーレム関数(e,y,y1)=f1(x1),…,(e,y,yn−1)=fn−1(x1,…xn−1)(e,y,yn)=fn(x1,…xn)を公理として追加するとΦは証明可能となる。そしてΠn文に対しても完全となればΣn文も否定がΠn文故に完全となる。全ての自然数nでΠn文が完全となるまで拡大するとPAは完全となる。特にPAの真命題には真なることを保証する関数が全てPAに存在することになる。その拡大された体系においてPAの真命題は証明可能となる。(証了)

次のようにPAに存在しない非再帰的全域関数を次々に付加してPA及び関数システムの拡大を超限無限回繰り返すことでも上と同様のシステムが得られる。 別証明;PAの1変数再帰的関数全体(定義域が自然数全体でないものも含む)は再帰的可算であり,またある再帰的(部分)関数fのゲーデル数をeとするときK={e|f(e)が定義されている}もまた再帰的可算集合であり,更に再帰的全域単射関数Gの値域として表される。e∈Kのときeで定義される再帰的(部分)関数{e}(x)のx=eでの値{e}(e),Gを表現するPAの関数をやはりGで,また値{e}(e)のPAでの表現もやはり{e}(e)で表す。まず任意の自然数xに対してy=0としておいてx=e(∈K)のときyをy≠{e}(e)なる最小の自然数に置き換える手続きを全ての自然数xに対して行うとどの再帰的(部分)関数とも一致しない関数αが得られるが,この関数は次のPAの論理式∀x∃y(∃n((x=G(n)→(y≠{G(n)}(G(n))∧(∀z<y¬(x=G(n)→(z≠{G(n)}(G(n)))))∧∀n(x≠G(n)→y=0))を充たすからこの論理式は真。αはこの論理式を充たす1つの自然数上の全域関数であるが定義からどの再帰的(部分)関数とも一致しないから非再帰的全域関数,故に上の論理式はPAで証明不可能。勿論,否定も証明不可能。PAにこの命題(関数αを定義する)を公理として追加しPAを拡大する。また再帰的関数論にはαをオラクルとして初期関数に加える。同値式∀xA(x)⇔∀x∃yB(x,y)…(★)において右辺は左辺をα再帰的関数で保証する。αとして左辺がゲーデル文であるときの右辺から定まる関数を追加して拡大しても良いが関数追加の方針から上の関数を優先した)この拡大されたシステムをPA(1)とするとαはここでは再帰的。また以降,再帰的と言うのはαをオラクルとして初期関数に加えたものを考える。従って以降のクリーニの述語はαを計算可能として加えたα計算の述語であり,α再帰的関数全体はαの追加に伴い可算無限個増加する。この手続きは以降の拡大でも同様に行う。だがこの型の拡大を超限無限回続けるとやがてある可算順序数ΩについてPA(Ω)はこれ以上この型の拡大は不可能になる。(PAの命題は可算個だから非可算無限回の拡大はできない)このとき真なるPA命題を確認するための関数がすべて証明可能だからこのシステムPA(Ω)は完全になる。もし真だが証明不可能な命題が在ればそれを確認する命題(上の(★)形式の同値式の右辺)からPA(Ω)に含まれない1変数の全域的関数を定義する証明不可能な命題が作れて(多変数の場合,カントールの対関数の反復で1変数化する)PA(Ω)が更に同じ型の拡大可能となるから。(証了)

以上の結果を要約して次の系を得る。

系;PAに非再帰的全域関数(上述したようにスコーレム関数の1つとなっている場合はそれらから取り出せる)でPAの命題(いずれ追加される関数を定義する部分を含み得る)を満たすものと関連する同値式(★)全てを追加したシステムSでPAは完全である。

PAを完全化したシステムでは再帰的可算な関係「eをプログラムのゲーデル数とする関数fについてx∈dom(f)」は表現可能であり,真なら証明可能だからfにxを入力したとき停止するか否かが定まる。  また同値式(★)の右辺を様々なシステムでの確認或いは証明を意味するものに取り替えて議論出来れば,新たな何かを得るかも知れない興味深いテーマと思われる。

関数の追加によるPAの完全化について I (On completion  of PA I)(2011年12月26日 記)

本論の目的はPAに可算個の非再帰的関数を追加することにより,その拡大体系においてPAの真命題が証明可能となる事を示す事にある。∀xA(x)をA(x)はxのみを自由変数とし量化子を含まないPAの述語とする。またB(x,y)をA(x)が真なる事を確認するTMに対するクリーニの標準形T1(e,x,y)をPAにおいて表現する述語とする。 ∀xA(x)⇔∀x∃yB(x,y)∧∀z<y¬B(x,y)…(★)は両辺がともに真かともに偽。よって公理として追加する。∀xA(x)がPAで証明されるならば∀x∃yB(x,y)∧∀z<y¬B(x,y)はPAにおいて1つの関数y=f(x)を定義する。また∀xA(x)が真だが証明不可能なら∀x∃yB(x,y)∧∀z<y¬B(x,y)即ち関数y=f(x)をPAの公理として追加する。すると拡大されたPAでは∀xA(x)は証明可能となる。

定理;PAに可算個の関数と同値形の公理(上の(★)の一般型)を追加して拡大した体系においてPAは完全化する。

証明;上に述べた事を一般化するだけである。PAのΠn文∀x1∃ y1…∀xn∃ynθ(ここにθはx1,…xn,y1…ynのみを自由変数に持ちかつ量化子を含まないいわゆる母式である)が真なる場合を考える。この場合も上と同様与えられたx1,…xnに対しθが真なる事を確認するTMに対するクリーニの標準形Tn(e,x1,…xn,y)をPAにおいて表現する述語をB(x1,…xn,y)とする。 ∀x1∃y1…∀xn∃ynθ⇔∀x1…∀xn∃yB(x1,…xn,y)∧∀z<y¬B(x1,…xn,y)がPAで証明可能でないなら公理として追加する。これに対しても∀x1∃y1…∀xn∃ynθがPAで証明不可能なら∀x1…∀xn∃yB(x1,…xn,y)∧∀z<y¬B(x1,…xn,y),即ち関数y=f(x1,…xn)を公理として追加する。Σn文に対しても同様の操作をする。即ちPAの真命題にはその証となるはずの関数を全てPAに追加することによりその拡大された体系においてPAの真命題は証明可能となる。 (証了)

(別証明)PAの1変数再帰的関数全体(定義域が自然数全体でないものも含む)は再帰的枚挙可能であり,またある再帰的関数fのゲーデル数をeとするときK={e|f(e)が定義されている}もまた再帰的枚挙可能集合で再帰的全域関数Gの値域として表されるとする。∀n∀x∃y((x=G(n)→(y≠{G(n)}(G(n))∧∀z<y¬(∀n∀x∃z((x=G(n)→(z≠{G(n)}(G(n))))∧(x≠G(n)→y=0))は真ゆえにこれは1つのPAの全域関数を定義するが定義から非再帰的全域関数だからPAで証明不可能。ゆえにPAにこの命題を公理として追加しPAを拡大する。(ゲーデル文を確認する関数を追加して拡大しても良い)この拡大されたシステムをPA(1)とする。この型の拡大を超限無限回続けるとやがてある可算順序数ΩについてPA(Ω)はこれ以上はこの型の拡大は不可能になる。このとき真なるPA命題を確認するための関数がすべて証明可能だからこのシステムPA(Ω)は完全になる。もし真だが証明不可能な命題が在ればそれからPA(Ω)に含まれない関数を定義する証明不可能な命題が作れてPA(Ω)が更に同じ型の拡大可能となるから。(証了)

なお筆者には上のPAを完全化するシステムは少なくとも高階の集合論において実現できるように思える。

関数の追加によるPAの完全化についてI( 追加版)(2011年12月27日 記)

本論の目的はPAに可算個の非再帰的関数を追加することにより,その拡大体系においてPAの真命題が証明可能となる事を示す事にある。∀xA(x)をA(x)はxのみを自由変数とし量化子を含まないPAの述語とする。またB(x,y)をA(x)が真なる事を確認するTMに対するクリーニの標準形T1(e,x,y)をPAにおいて表現する述語とする。 ∀xA(x)⇔∀x∃yB(x,y)∧∀z<y¬B(x,y)…(★)は両辺がともに真かともに偽。よって公理として追加する。∀xA(x)がPAで証明されるならば∀x∃yB(x,y)∧∀z<y¬B(x,y)はPAにおいて1つの関数y=f(x)を定義する。また∀xA(x)が真だが証明不可能なら∀x∃yB(x,y)∧∀z<y¬B(x,y)即ち関数y=f(x)をPAの公理として追加する。すると拡大されたPAでは∀xA(x)は証明可能となる。この考えから次の定理を得る。

      

定理;PAに可算個の関数と同値形の公理(上の(★)の一般型)を追加して拡大した体系においてPAは完全化する。

証明;上に述べた事を一般化するだけである。PAのΠn文∀x1∃y1…∀xn∃ynθ(ここにθはx1,…xn,y1…ynのみを自由変数に持ちかつ量化子を含まないいわゆる母式である)が真なる場合を考える。この場合も上と同様に与えられたx1,…xnに対しθが真なる事を確認するTMが存在する。(y1はx1のスコーレム関数f1でy1=f1(x1)の形で決まることになる)これに対するクリーニの標準形Tn(e,x1,…xn,y)をPAにおいて表現する述語をB(x1,…xn,y)とする。 ∀x1∃y1…∀xn∃ynθ⇔∀x1…∀xn∃yB(x1,…xn,y)∧∀z<y¬B(x1,…xn,y)ここに右辺はnに関する帰納法により,y1はx1のスコーレム関数f1でy1=f1(x1),y2=f2(x1,x2),…,yn=fn(x1,…xn)の形で決まることになるがy=h(y1,…yn)(hはωのn乗とωとの1対1対応)を意味する。この同値式をPAに公理として追加する。これに対しても∀x1∃y1…∀xn∃ynθが真でPAで証明不可能なら∀x1…∀xn∃yB(x1,…xn,y)∧∀z<y¬B(x1,…xn,y),即ち関数y=f(x1,…xn)を公理として追加する。Σn文に対しても同様の操作をする。即ちPAの真命題には真なることを保証する関数が全てPAに存在することになる。その拡大された体系においてPAの真命題は証明可能となる。(証了)

(別証明) PAの1変数再帰的関数全体(定義域が自然数全体でないものも含む)は再帰的枚挙可能であり,またある再帰的関数fのゲーデル数をeとするときK={e|f(e)が定義されている}もまた再帰的枚挙可能集合である再帰的全域単射関数Gの値域として表される。Gを表現するPAの関数をやはりGで表す。∀n∀x∃y((x=G(n)→(y≠{G(n)}(G(n))∧∀z<y¬(∀n∀x∃z((x=G(n)→(z≠{G(n)}(G(n))))∧(x≠G(n)→y=0))は真ゆえにこれは1つのPAの全域関数を定義するが定義から非再帰的全 域関数だからPAで証明不可能。ゆえにPAにこの命題を公理として追加しPAを拡大する。(ゲーデル文を確認する関数を追加して拡大しても良い)この拡大されたシステムをPA(1)とする。この型の拡大を超限無限回続けるとやがてある可算順序数ΩについてPA(Ω)はこれ以上はこの型の拡大は不可能になる。(PAの命題は可算個だから非可算無限回の拡大はできない)このとき真なるPA命題を確認するための関数がすべて証明可能だからこのシステムPA(Ω)は完全になる。もし真だが証明不可能な命題が在ればそれからPA(Ω)に含まれない関数を定義する証明不可能な命題が作れてPA(Ω)が更に同じ型の拡大可能となるから。(証了)

なお上のPAを完全化するシステムは少なくとも高階の集合論において実現できるように思える。またプログラムに従う計算過程は計算で使用される作業用メモリも含めて出現する変数をまとめて1つの変数X,順次実行される部分を関数F(X)と表すと計算過程はFを1つのサイクルとするループからなる。1サイクル分のメモリも含め停止する場合は最後に出力部分がくるものをやはりまとめてYで表す。計算過程はF(1),F(2),…,F(n),…と継続し変数のある部分がループからの脱出条件である述語を充たすとループから脱出し,幾らかの処理の後計算過程は停止する。PA命題∀xA(x)の確認プログラムはA(0),A(1),…と確認していくがA(n)の確認結果について真なら1,偽なら0の値をとる関数Fが任意のnに対し1をとる関数であるとあるシステムで保証される場合(例えば∀n(F(n)=1)が 証明される場合)に∀xA(x)は確認できたと言えるし,反例探索の形で¬A(m)であるものを追跡するプログラムに従う反例を求める計算過程Gが停止しないことがあるシステムで保証できる場合(例えば∀n(G(n)=0)または,mサイクル目で停止する場合G(m)=0,停止しない場合を1とすれば∀n∃x(n<x∧G(x)=1)証明される場合)に∀xA(x)は確認できたと言える。このような素朴な観察からある関数が存在してある条件を充たすことが PA命題の証明や計算過程の停止性判定では有効である。また述語の充足集合は関数のグラフの合併集合と見なせる。上記の非再帰的関数の追加によるシステムの拡大はこの素朴な観察に動機づけられたものである。

関数の追加によるPAの完全化についてI( 追加改訂版)(2011年12月31日 記)

本論の目的はPAに可算個の非再帰的関数を追加することにより,その拡大体系においてPAの真命題が証明可能となる事を示す事にある。∀xA(x)をA(x)はxのみを自由変数とするPAの原始再帰的述語とする。即ちΠ1文∀x∃y1A(x)だが述語A(x)を充足する(x,y1)においてy1の値は任意である場合である。またB(x,y)をxを入力としそのときA(x)が真なることを確認するプログラム(ゲーデル数e)に従う計算過程のゲーデル数をyとするときyは出力として終点表示と変数y1=0を含む。(y1は任意だから最小の0をとるとする)TMに対するクリーニの標準形T1(e,x,y)をPAにおいて表現する述語とする。(eは無数にあるがその中の勝手な1つをとる) ∀xA(x)⇔∀x∃yB(x,y)…(★)は両辺がともに真かともに偽。よって公理として追加する。∀xA(x)がPAで証明されるならば∀x∃yB(x,y)はyが一意的に決まることからPAにおいて1つの関数y=f(x),より詳細には(e,y,y1)=(e,y,0)=f(x)を定義する。また∀xA(x)が真だが証明不可能なら∀x∃yB(x,y)において与えられたxに対しyが一意的,故に関数(e,y,0)=f(x)(eはプログラムのゲーデル数,yはeによる計算過程のゲーデル数)が存在するが∀x∃yB(x,y)はPAで証明不可能故に非再帰的であるがこれをPAの公理として追加する。すると拡大されたPAでは∀xA(x)は証明可能となる。このような拡大を全てのxのみを変数とする原始再帰的述語A(x)全てに対して行うと∀xA(x)(Aは原始再帰的)に関しては完全になる。よって∃xA(x)はその否定を考えればやはり真なら証明可能となっている。ここで特にnはPAの命題のゲーデル数xはその命題の証明のゲーデル数であるとき真となる述語Prf(n,x)をA(x)にとると原始再帰的述語であるから上の結果を用いると上の拡大されたシステムではPAの任意の真命題は証明可能,即ち上の拡大システムにおいてPAは完全になる。よって次の定理を得る。

定理;PAに可算個の非再帰的関数と同値形の公理(上の(★)を追加して拡大した体系においてPAは完全化する。

(別証明1);上に述べた事を帰納法で行うだけである。PAのΠ1文∀x1∃y1θ(x1,y1)(ここでθはx1,y1のみを変数として(y1はなくてもよい)持つ量化子を含まない述語)に対し,与えられたx1に対し,θ(x1,y)が真なるかをy=0,y=1,…,y=n,…と調べθ(x1,m)が真なる最小のyを見つけるとy1=mを終点表示とともに出力するTMについての計算過程のゲーデル数yの終点表示から最終的にy1を取り出す。(上のA(x1)のようにy1を含まない場合y1=0と設定される)クリーニの標準形T1(e,x1,y)を元に作る述語のPAでの表現をB(x1,y1)とすると上の同値式(★)と同様に∀x1∃y1θ(x1,y1)⇔∀x1∃y1B(x1,y1)を公理に追加する。右辺は真なら関数(e,y,y1)=f1(x1)を定義するが真だがPAで証明不可能のときこのような関数の存在を全て公理として追加してPAを拡大するとΠ1文に関しては完全になる。Σ1文に関しては否定がΠ1文だからΠ1文に関して完全ならΣ1文に関しても完全になる。n>1とし,n−1のときΠ1からΠn−1文に関しては完全となるPAの拡大が既になされているとする。Πn−1文∀x1∃y1…∀xn−1∃yn−1θ(x1,…xn−1,y1…yn−1)(ここにθはx1,…xn−1,y1…yn−1のみを自由変数に持ちかつ量化子を含まないいわゆる母式である)が真なる場合あるプログラムのゲーデル数eが存在し与えられた(x1,…xn−1)に対しx1に依存してy1が,x1,x2に対してy2が,…,x1,…xn−1に依存してyn−1が存在して,即ちスコーレム関数f1(x1)=(e,y,y1),f2(x1,x2)=(e,y,y2),…,fn−1(x1,…xn−1)=(e,y,yn−1)が定義されるとし入力(x1,…xn−1)に対し上の(y1…yn−1) を出力するプログラムのゲーデル数eに従う計算過程のゲーデル数をyとするとその計算のクリーニの標準形をTn(e,x1,…xn−1,y)とする。yの終点表示から(y1…yn−1)を取り出す述語をB(x1,…xn−1,y1…yn−1)とする。∀x1∃y1…∀xn−1∃y1…∃yn−1θ(x1,…xn−1,y1…yn−1)⇔∀x1…∀xn−1∃y1…∃yn−1B(x1,…xn,y1…yn−1)は公理として既に追加されている。左辺が偽なら右辺も偽となる。左辺が真のとき右辺に従い関数(e,y,y1,…,yn−1)=F(x1,…,xn−1)であるが特にスコーレム関数(e,y,y1)=f1(x1),…,(e,y,y1…yn−1)=fn−1(x1,…xn−1)も同時に定義されている。これらは帰納法の仮定よりPAに存在すると公理に追加されている。さてΠn文Φ≡∀x1∃y1…∀xn∃y1…∃ynθ(x1,…xn,y1,…yn)について(α,β)∈ω×ωとして可算無限個のΠn−1文Φ(α,β)≡∀x2∃y2…∀xn∃y1…∃ynθ(α,…xn,β,…yn)を考える。帰納法の仮定よりこれらの真偽は全て定まっている。そこでTMはそれらの真偽情報は全て利用できるものとする。即ち,Πnを考える際にはΠk,Σk(k<n)で導入した非再帰的関数はオラクルとして使用可能と考える。Φが真ならばαを固定してΦ(α,0),…,Φ(α,n),…で真なる最小のmをもつΦ(α,m)を見いだすTMがある。αを入力したとき上と同様なΦ(α,m)を計算するTMにΦ(α,m)に対する上に述べたTMのプログラムを加えて与えられたx1,…xnに対しn−1と同様にy1,…ynを計算するTMのプログラムeを作ることができる。以下n−1の場合と同様にB(x1,…xn,y1,…yn)が存在しθが真なる事を確認するTMが存在する。(y1はx1のスコーレム関数f1でy1=f1(x1)の形で決まることになる)これに対するクリーニの標準形Tn(e,x1,…xn,y)をPAにおいて表現する述語をB(x1,…xn,y)とする。∀x1∃y1…∀xn∃y1…∃ynθ(x1,…xn,y1…yn)⇔∀x1…∀xn∃y1…∃ynB(x1,…xn,y1…yn)を公理として追加すると左辺が真のとき右辺に従い関数(e,y,y1)=f1(x1),…,(e,y,y1…yn)=fn(x1,…xn)が定義される。これに対しても∀x1∃y1…∀xn∃ynθ(x1,…xn,y1…yn)が真でPAで証明不可能なら∀x1…∀xnB(x1,…xn,y1,…,yn)を公理として追加する。即ち関数(e,y,)y=f(x1,…xn)を公理として追加するとΦは証明可能となる。そしてΠn文に対しても完全となればΣn文も否定がΠn文故に完全となる。全ての自然数nでΠn文が完全となるまで拡大するとPAは完全となる。特にPAの真命題には真なることを保証する関数が全てPAに存在することになる。その拡大された体系においてPAの真命題は証明可能となる。   (証了)  

  (別証明2);PAの1変数再帰的関数全体(定義域が自然数全体でないものも含む)は再帰的枚挙可能であり,またある再帰的関数fのゲーデル数をeとするときK={e|f(e)が定義されている}もまた再帰的枚挙可能集合である再帰的全域単射関数Gの値域として表される。Gを表現するPAの関数をやはりGで表す。∀n∀x∃y((x=G(n)→(y≠{G(n)}(G(n))∧∀z<y¬(∀n∀x∃z((x=G(n)→(z≠{G(n)}(G(n))))∧(x≠G(n)→y=0))は真ゆえにこれは1つのPAの全域関数αを定義するが定義どの再帰的関数とも一致しないから非再帰的全域関数,故にPAで証明不可能。PAにこの命題(関数αを定義する)を公理として追加しPAを拡大する。(ゲーデル文を確認する関数を追加して拡大しても良い)この拡大されたシステムをPA(1)とするとαはここでは再帰的。また以降計算理論でも再帰的と言うのはαをオラクルとして再帰的と考える。従って以降のクリーニ標準形はαを計算可能として加えたα標準形。この手続きは以降の拡大でも同様に行う。だがこの型の拡大を超限無限回続けるとやがてある可算順序数ΩについてPA(Ω)はこれ以上はこの型の拡大は不可能になる。(PAの命題は可算個だから非可算無限回の拡大はできない)このとき真なるPA命題を確認するための関数がすべて証明可能だからこのシステムPA(Ω)は完全になる。もし真だが証明不可能な命題が在ればそれからPA(Ω)に含まれない関数を定義する証明不可能な命題が作れてPA(Ω)が更に同じ型の拡大可能となるから。(証了)

なお上のPAを完全化するシステムはある条件を加えて高階の集合論において実現できるように思える。またプログラムに従う計算過程は計算で使用される作業用メモリも含めて出現する変数をまとめて1つの変数X,順次実行される部分を関数F(X)と表すと計算過程はFを1つのサイクルとするループからなる。1サイクル分のメモリも含め停止する場合は最後に出力部分がくるものをやはりまとめてYで表す。計算過程はF(1),F(2),…,F(n),…と継続し変数のある部分がループからの脱出条件である述語を充たすとループから脱出し,幾らかの処理の後計算過程は停止する。PA命題∀xA(x)の確認プログラムはA(0),A(1),…と確認していくがA(n)の確認結果について真なら1,偽なら0の値をとる関数Fが任意のnに対し1をとる関数であるとあるシステムで保証される場合(例えば∀n(F (n)=1)が証明される場合)に∀xA(x)は確認できたと言えるし,反例探索の形で¬A(m)であるものを追跡するプログラムに従う反例を求める計算過程Gが停止しないことがあるシステムで保証できる場合(例えば∀n(G(n)=0)または,mサイクル目で停止する場合G(m)=0,停止しない場合を1とすれば∀n∃x(n<x∧G(x)=1)証明される場合)に∀xA(x)は確認できたと言える。このような素朴な観察からある関数が存在してある条件を充たすことがPA命題の証明や計算過程の停止性判定では有効である。また述語の充足集合は関数のグラフの合併集合と見なせる。上記の非再帰的関数の追加によるシステムの拡大はこの素朴な観察に動機づけられたものである。

続B(x,y) について(2011年12月13日 記)

B(x,y)はA(x)を確認するプログラムの記述に沿って入力xの場合にそのプログラムを走らせた計算結果を考えるときプログラムの記述とそれに従って行われる計算の結果までの変数値全ての履,のゲーデル数がyであるときのみ真なる値をとる述語でありA(x)が帰納法で証明されるときはA(x+1)の確認はA(x)の確認操作と帰納法が示すパターンに従って計算されるだろう。A(x)⇔∃yB(x,y)だから∀xA(x)⇔∀x∃yB(x,y)。∀xA(x)が真のとき各xに対しB(x,y)を真ならしめるy(確認プログラムや各変数の履歴から特にエンド文を実行するまでのステップ数をyの値とした場合yの値は一意的に決まる)の最小値をy=f(x)で表す。そのときPAで∀x(y=f(x)→B(x,f(x)))であり,y=f(x)なる関数の導入により∀xA(x)が証明可能になる。∀xA(x)⇔∀x∃yB(x,y)より∀xA(x)がPAで証明可能ならば∀x∃yB(x,y)もPAで証明可能先ほどのようにプログラムを固定してステップ数をyの値とするとyの値は一意的だからこの論理式はPAでの関数を定義し故に再帰的になる。∀xA(x)が真だがPAで証明不可能なとき∀x∃!yB(x,y)→∀xA(x)が成り立つから∀x∃!yB(x,y)がPAで証明不可能。公理に追加すると新たな関数を導入したことになり拡大されたPAでは∀xA(x)も証明可能になる。PAの任意のΠk命題φ(Σkは否定のΠk文をとり偽を定義することになる)に対しφの確認プログラム(全数検査)が存在し,それはPAに埋め込む事ができる。一般には集合論においてn変数の関数値が全てのX=(X1,…,Xn)に対し有限値である時,φを真と定義する。

最後は1変数述語 (2011年12月9日)

PAの証明に関して最重要な述語は2変数述語Prf(x,y)である。xは命題のゲーデル数,yはその命題の証明のゲーデル数のときのみ真である述語。従ってPAのある命題φが証明可能か否かはφのゲーデル数がnのとき∃yPrf(n,y)が真か否かできまる。否定を取ると∀y¬Prf(n,y)¬Prf(n,y)をA(y)とおくと∀yA(y)の形になる。nをゲーデル文のゲーデル数とするとA(0),A(1),…,A(k),…が全て真でありながら∀yA(y)が導出できないため∀yA(y)は証明不可能。否定は偽だから証明不可能。一般に真だが証明不可能な∀yA(y)は真だからどのkについてもA(k)は真,ところが∀yA(y)は証明不可能となる。そこでω規則が導入されるならなら真なるΠ1文∀yA(y)は証明可能となり真なる∀y¬Prf(n,y)は全て証明可能となり,これが証明されるゲーデル数nを持つ命題を偽,そうでないものを真とすると実際,真なる命題φのゲーデル数は∀y¬Prf(n,y)ではないから∃yPrf(n,y)となりφはあるゲーデル数yを証明のゲーデル数にもつ。これがω規則の導入によるPAの完全化であると思う。すると万事問題なしだがA(0),A(1),…,A(k),…が全て真と言うのを如何にして確認するのか1つでも偽が出て来れば幸いだが出てこないからと言っても永遠にやれる訳ではない。次の問題は如何にしてA(0),A(1),…,A(k),…が全て真を示すのか,少なくともその可能性を示すことに問題は移る。そこで僕の提案は関数の導入で,実際にPAの命題φの決定がそのままできる訳ではないが無限回の拡大過程を飛び越えある関数に集合論的概念で指示されるにしか過ぎない関数に実効的に操作可能なまで辿り着けばPAの命題が証明可能となることを示すことを目指す。実は1変数述語に行き着いて取り扱いが分からず数日間考えたが典型的Π1文∀x∃yP(x,y)では上手く機能しそうな関数の導入による拡大の手が使えず母式(英語ではmatrix;要するに量化子を含まない原始的述語)を考えざるを得ないと言うことになったがそれは1変数の述語φ(y)にy=f(x)を代入した形になると結論した。φ(f(x))は述語φ(x)について集合A={x|φ(x)}を考えるとf(x)∈Aと言うことになりさらにAの特徴関数をc(x)とおくとc(f(x))=1(1は真を表すとする。0は偽を意味する)1変数述語B(x)=(c(f(x))=1)となり関数c(f(x))の出番が生じるが典型的Π1文で上手く機能した形は適応できないためさらに1変数述語A(x)を2変数化することを考えたがあるプログラム(以前,全数検査プログラムむしろ全数検査関数と呼んでいた)によるxがkの場合のA(k)が真であるプロセスの履歴(現れる全ての変数の履歴をまとめたものを)例えばゲーデル数yで表すとyは特別な意味を持ち∀xA(x)が真なる場合,各kに対しA(k)が真なることを確認するプロセスy(k)が存在する場合B(x,y)は真と定義すると∀xA(x)⇔∀x∃yB(x,y)であり,後者は如何にしてA(0),A(1),…,A(k),…が全て真を示すのかに対する次のような1つの処方箋を与える。即ち,Fをωからωへの関数全体としたとき∀xA(x)の真を∃f∈F∀x(y=f(x)→B(x,f(x)))が集合論で証明可能なときと定義する事である。上のA(x)からB(x,y)の移行は以前考えた全数検査の考えが自然に吸収されて満足する形になっている。1変数の場合を考えて間もなく比較的初期のアイデアだったがxがゲーデル数でなくyだけが異様に複雑なプロセスのコード化としてのゲーデル数で別の形を求めたが上述したφ(f(x))では典型的Π1文で上手く機能しそうなアイデアが活かせないのと全数検査過程が入っているのでA(x)からB(x,y)へ移行したがPrf(x,y)にも似た形をしている。Prf(x,y)からB(x,y)を思いついても良さそうなものだがPrf(x,y)のx,yはゲーデル数と言うことが障害になってたようで直後に似てると思ってB(x,y)の妥当性を感じてPrf(x,y)からの書き出しになったのです。これで¬∃yPrf(n,y⇔∀y¬Prf(n,y))を各nについて考える事ができるようになり考察の範囲をΠ1に収められる。全数検査過程を典型的Π1文に適用するとP(x,y)の成立を確認するプロセスのゲーデル数をzとおくとP(x,y)⇔Q(x,y,z)。∀x∃yP(xy)⇔∀x∃y∃zQ(x,y,z)ですがω×ωからωへの1対1対応を用いると更に∀x∃y∃zQ(x,y,z)⇔∀x∃wR(x,w)で殆ど変化はなしです。12月6日,21:44のメールにあるようにΠk(2≦k)文の場合には4変数述語が基本ですが∃tに対応する変数tが述語に出現しなくても任意のtについて同じと処理できるが関数f,gの2種について処理するのはまだよくは考えてないが多少面倒です。典型的Π1と同じアイデアでPA論理式で記述できる範囲の新たな関数の導入で証明可能な真なるPAのΠk文は得られるでしょうし,Π1の場合に完成しておいて次いでΠ2と帰納法を適用しても良いのですが(集合論に拡張したPAでは便利なコード化は順序数になる気もするがゲーデル数のようには行かない気もするのは非可算性による部分がそれなりにある。PAの述語Prf(x,y)の集合版が作れるとかなり楽ですが)制限された集合論でのPAの拡張でも非可算ながら完全化可能と思われるが論理式で表現可能な集合論でのPAはPrf(x,y)に相当するものが見つからないうちは共に集合論では1変数述語から始まってΠ,…Πk,…へと帰納法での証明になるだろう。だから,無難なのは集合論でPA命題の真偽を定義し,1変数述語,Π1文を片付け述語Prf(x,y)に頼る証明になる。

序文と後記, 特にPAのΠk( Σk)文が真であるための条件( 真命題の定義)(2011年11月5日 記)

本論の目的はPAの真命題が数学の何処かで決定(証明)可能である事を示す事にある。以下,主に定義とアウトラインを述べる。PAのΠn文∀x1∃y1…∀xn∃ynP(x1,y1,…,xn,yn)(Pは量化子を含まない)が真であるための条件はSP={((x1,y1),…,(xn,yn))|P(x1,y1,…,xn,yn)が真}(真理集合を1つの隣接する(x,y)成分毎に組にしてn個並べた形)が任意の自然数のn個の組(α1,…,αn)に対してある(y1,…,yn)=(β1,…,βn)が存在して((α1,β1),…,(αn,βn))∈SPを満たすことである。この時SPは真集合と呼ぶ。真集合Aの要素((α1,β1),…,(αn,βn))に(α1,β1)→…→(αn,βn)なる順序を入れるとAは1つの木構造を持つ。(*,*)→(α,β)とし,(*,*)から(αn,βn)に至る全ての道を考える。道(*,*)→(α1,β1)→…→(αn−1,βn−1)を固定し,これから終点である自然数mについて(m,*)なるものを全く持たないとき道(*,*)→(α1,β1)→…→(αn−1,βn−1)→(α,β)なる道全てを消す。残る道の(*,*)→(α1,β1)→…→(αn−1,βn−1)→(α,β)なるものでαが0,1,…,n,…即ち自然数全体を終点に持つものが存在するこれを真理木構造Bとする。次に残った道のうち道(*,*)→(α1,β1)→…→(αn−2,βn−2)を固定し,これから(αn−2,βn−2)に続くものがある自然数mについて(m,*)なるものを全く持たないとき道(*,*)→(α1,β1)→…→(αn−2,βn−2)→…なる道全てを消す。このような操作を最後まで遂行したとき真集合の木構造は(*,*)からの任意の道は自然数mについてxn=mなる終点(xn,yn)へと繋がっている。また残る点(xk,yk)についてx成分のみを並べた(x1,…,xn)全体は自然数のn組全体になる。そこで各自然数αについて(x1,y1)(x1=α)から始まる道でy1が最小のものをf1(x1)であらわす。このようにしてωからωへの関数f1が定義される。更に各自然数αについて(α,f1(α))に続く(x2,y2)でx2を固定したとき最小のy2を対応させる関数f2(x2)はαに依存して唯一決まるからこのf2をf2(α)で表す。同様にして任意の自然数のk組(α1,…,αk)に対して関数ωからωへの関数fk+1(xk+1)が1つ定まるがこの関数をg(α1,…,αk)(1≦k≦n−1),g(φ)=f1 そして集合Bから得られた要素((α1,f1(α1)),(α2,g(α1)(α2)),…,(αn,g(α1,…,αn−1)(αn)))((α1,…,αn)は自然数のn組全体)全体Cを集合Aから得られた単純真集合と呼ぶ。ここで汎関数gはAから定まるが逆に,任意に汎関数gを与えてCを作ったとき任意のA(⊃C)は真集合である。集合論において自然数上のn項関係Rは単に集合ωのn乗の部分集合であるだけだが集合論におけるPAのΠn文∀x1∃y1…∀xn∃ynR(x1,y1,…,xn,yn)が真である条件をRの真理集合が上述したある単純真集合Cを含むときと定義する。またΣn文に関しては否定がΠn文だから否定文がΠn文として偽のとき真であると暫定的に決めておく。Π文の場合に考えたような汎関数gを用いた単純真集合Cの類似物は後程定義するつもりである。この集合論におけるPAの拡大的理論SAは汎関数gで定めるωからωへの関数及びそのgによる定め方はその記述を計算可能なものに限るとか基準を弛めるかで変化するが先ずはPAの真理集合が真集合か否かを決定できるものを想定する。PAのΠn文∀x1∃y1…∀xn∃ynP(x1,y1,…,xn,yn)(Pは量化子を含まない)についてSP={((x1,y1),…,(xn,yn))|P(x1,y1,…,xn,yn)及びΣn文の真理集合が真集合であるような命題全体を考えΓとする。またその内PAで証明可能な真集合を持つ命題全体をχとする。Γ−χの要素全体をPAに付加すればPAを完全にできる。また前回の記事にあるようなゲーデル文の一種の追加を超限無限に行えば,PA命題が可算無限個しかないから高々可算個のゲーデル文の追加でPAを完全化できる筈である。(但し,ゲーデル文の追加による拡大は単純に可算無限個の追加で終わる保証はなくω回の追加の後,更にω回の追加,さらに…と続行しなければならない。ωまでの無限個のゲーデル文の追加だとPAの公理系のRE拡大だから完全化はできない。)いずれにしても計算不可能な拡大が必要である。PA命題の述語の真理集合は述語の特性を無視するような一般論では全数検査的に求めざるを得ず上で単純真集合Cを考える理由は例えばΠ1文∀x∃yP(x,y)を関数fにより同値な命題∀xP(x,f(x))を考える事が出来ればx→∞での全数検査の結果の追求を回避できる事にあった。後記;僕の元の計画は全数検査を実行するための媒体自身の性質により全数検査結果を知る事にあった。上でCの汎関数g及びgで定まる関数を導入したのはそれらを色々動かして媒体自身の性質を作る目的がある。真理集合が真集合の場合証明可能な命題の真理集合で真集合を近似統する事,統計力学のイジング模型と見なして調べる事にも活路はあるかも知れない。

PAを扱う集合論で用意すべき関数(2011年11月10日 記)

ゲーデル文として獲得される可能性のあるΠ1文ΦはPAで証明不可能故に通常の意味で全域的な再帰的関数を定義しないが真であるから実は述語部分は全域的な再帰的関数を定義する。このような事実からPAを扱う集合論で用意すべき関数は結局,全域的関数を定義する組(x,y)全体を定める論理式及びそれらを含む集合を真理集合とする述語部分を持つΠ1文を定義するだけで良い。

次回は全体像(一応の完成版)を掲載する予定です。

PAが完全性を持つシステムの例(2011年11月21日 記)

本論の目的はPAの真命題があるシステムで有限時間での決定(証明)可能性を示す事にある。Π1文の場合を検討しているうちに一般のΠnやΣn文の考察は不要であると言う結論に至った。Π1文∀x∃yP(x,y)が真ならxを固定したときP(x,y)を満たす最小のyをとれば付随する関数が定まり関数y=f(x)から真なる命題∀x∃y(y=f(x))あるいは∀xP(x,f(x))が真なら∀x∃yP(x,y)も真と決まり関数の存在から命題の真が定まる。実際,PAの真なるΠ1文を完全に掌握できたとしよう。Pr(x,y)はゲーデル数yはゲーデル数xの命題の証明とする。自然数nに対しf(x)=nなる定数関数とする。∀x∃yPr(f(x),y)は∃yPr(n,y)と同値だから任意のΠ1文で十分である。このことは1変数述語A(x)に対して∀A(x)を考えれば十分であることに繋がる。PAで証明可能なΠ1命題全体をχとする。ΓをPAの真なる命題全体,PAで証明可能なΠ1命題全体をχとする。Γ−χの要素全体をPAに付加すればPAを完全にできる。しかしΓ−χのPA命題αが1つあればPAの公理として追加しPAを拡大する。このような反復拡大はω回で完了する保証はないから順序数に沿った拡大をしなければならないにしてもPA命題全体が可算無限個しかないから可算順序数までの拡大でΓは尽きる。以上のメタ議論が遂行可能なシステムでPAは完全性を持つ。従って追加する命題αの存在を示せば主張は完結する。

定理;α∈Γ−χなるPA命題αが存在する。

証明可能なPAのΠ1文は再帰的可算であり命題のゲーデル数の大きさの順に出力するプログラムが存在する。n番目の命題∀x∃yP(x,y)に対し,P(n,y)を満たす最小のyに対し例えばnでの値をy+1とする出力するプログラムに対応するPAのΠ1文∀x∃!yF(x,y)は証明可能であり関数y=F(x)を定める。(Fの存在はゲーデル数を用いてキチンとしなければならないにしてもχはより小さいものにできる。)結局Π1文だけで完全化可能だからk≧2についてのΠk,Σkは不要。ただし最後の定理は実際PAに入ってないと拙い。

PAが完全性を持つシステムの例 (2011年11月22日 記)

本論の目的はPAの真命題があるシステムで有限時間での決定(証明)可能性を持つことを示す事にある。Π1文の場合を検討しているうちに一般のΠnやΣn文の考察は不要であると言う結論に至った。Π1文∀x∃yP(x,y)が真ならxを固定したときP(x,y)を満たす最小のyをf(x)(yが出現しないときは0と定める)とすれば関数y=f(x)から真なる命題∀x∃!y(P(x,y)∧∀z<y→¬P(x,z))が作れる。これを簡単に∀x∃y(y=f(x))と表すとこれから∀x∃yP(x,y)が真なることは明らかで∀x∀y(P(x,y)∧y=f(x)→Q(x,y))ならば∀x∃yQ(x,y)も成り立つ。関数の存在から命題の真が定まる。実際,PAの真なるΠ1文を完全に掌握できたとしよう。Pr(x,y)においてゲーデル数yはゲーデル数xの命題の証明とする。自然数nに対しf(x)=nなる定数関数とする。∀x∃yPr(f(x),y)は∃yPr(n,y)だからゲーデル数nが証明可能かを問う述語も表現され,任意のΠ1文で十分であるこてが分かる。このことは勝手な命題のゲーデル数x=nに対して1変数述語A(x)=∃yPr(x,y)に対して∀A(x)を考えても十分であることに繋がるだろう。ΓをPAの真なる命題全体,χをPAで証明可能なΠ1命題の集合を表す。またPA命題Φ∈χのとき¬Φ全体をμで表す。無論全体を表すこともある。上に述べたようにΓ−χの要素全体から各々定まるωからωへのPAで定義される関数すべてを加すればPAを完全にできる。これは自明な指摘であるがΓ−χのPA命題αが1つあればPAの公理として追加しPAを拡大する。ここでχを小さくとり始めれば必ずしもPAの拡大にはならないがχは拡大する。このような反復拡大は最初の極限順序数ω回で完了する保証はないから順序数に沿った拡大をしなければならないにしてもPA命題全体が可算無限個しかないから可算順序数までの拡大でΓは尽きる。以上のメタ議論が遂行可能なシステムでPAは完全性を持つ。従って追加する命題αの存在を示せば主張は完結する。我々はχとしてA(x)を特徴関数とするPAで証明可能なゲーデル数全体の再帰的可算集合全体から始める必要はない。有限集合から始めても良いのである。但しχの命題はゲーデル数の大きさ通りに番号づけられている(順序同型に)同様にμの命題も番号づけられているが各々,ゲーデル数の大きさに従うように番号づけられていて獲得された命題αのゲーデル数によって並べ直す。(順序づけ関数を変更する)操作が極限順序数段階に達しても拡大されたχの命題全体が全てΓ−χが空集合でなければ即ちχUμの各要素がPAのゲーデル数全体でなければ同じ操作を続行する。無論それまでにΓが尽きていればその時点で終了する。操作に付与された段階を示す順序数は可算順序数なので段階番号(順序数)と命題番号(上の順序づけ関数による番号)は必ずしも一致しない。途中得られた獲得命題αはその時点でPAの公理に追加される。

定理;Γ−χが空集合でないならばα∈Γ−χなるPA命題αが作れる。

(証明)χの命題のゲーデル数の大きさに従って再帰的に番号づけられているから番号nから該当のΠ1文は再帰的に 再構成される。それが∀x∃ya(x,y)とすると,∃ya(n,y)は証明可能命題だから上の命題を真とする最小のy=fn(x)が存在する。そのnに対しfn(n)+1を対応させると組(n,fn(n)+1)がχのゲーデル数の大きさの順に生成する再帰的手続きが存在し,それを表現するPAの命題∀x∃!yP(x,y)が存在する。これをαとすれば良い。(証了)

PAが完全性を持つシステムの例 (2011年11月26日 記)

本論の目的はPAの真命題があるシステム(集合論の一部分)で有限時間での決定(証明)可能性を持つことを示す事にある。集合論にペアノの公理系で定義された自然数全体はωである。Π1文の述語は単にω×ωの部分集合,関数はωからωへの関数全体を考える。以下この算術体系もPAと呼ぶことにする。Π1文の調べているうちに一般のΠnやΣn文の考察は不要であると言う結論に至った。Π1文∀x∃yP(x,y)が真ならxを固定したときP(x,y)を満たす最小のyをf(x)(yが出現しないときは0と定める)とすれば関数y=f(x)から真なる命題∀x∃!y(P(x,y)∧∀z<y→¬P(x,z))が作れる。これを簡単に∀x∃y(y=f(x))と表すとこれから∀x∃yP(x,y)が真なることは明らかで∀x∀y(P(x,y)∧y=f(x)→Q(x,y))ならば∀x∃yQ(x,y)も成り立つ。関数の存在から命題の真が定まる。実際,PAの真なるΠ1文を完全に掌握できたとしよう。Pr(x,y)においてゲーデル数yはゲーデル数xの命題の証明とする。自然数nに対しf(x)=nなる定数関数とする。∀x∃yPr(f(x),y)は∃yPr(n,y)だからゲーデル数nが証明可能かを問う述語も表現され,任意のΠ1文で十分であるこてが分かる。このことは勝手な命題のゲーデル数x=nに対して1変数述語A(x)=∃yPr(x,y)に対して∀A(x)を考えても十分であることに繋がるだろう。ΓをPAの真なる命題全体,χをPAで証明可能なΠ1命題の集合を表す。またPA命題Φ∈χのとき¬Φ全体をμで表す。無論全体を表すこともある。上に述べたようにΓ−χの要素全体から各々定まるωからωへのPAで定義される関数すべてを加えさえすればPAを完全にできる。Γ−χのPA命題αが1つずつ加えΓ−χが空集合になるまで追加を続ける。追加した命題は公理としてPAのχを拡大する。ここでχを小さくとり始めれば必ずしもPAの拡大にはならないがχは拡大する。このような反復拡大を超限帰納法により完遂する。PAのΠ1命題全体は非可算個存在する。先ず自然数nについてだけ1をとり他の自然数mに対しては0をとる関数をFnで表すと任意の関数GはG=ΣXiFiと表せる。ここに各Xiは自然数。(X1,…,Xn,…)に対して辞書式順序を入れると全体としてωのω乗の非可算無限順序集合。χは先ず空集合にしておく。(基本的な公理図式もここでは無視する。)また(i,Xi)(iは自然数全体)を要素とする述語をP(X1,…,Xn,…)(x,y)で表す。∀x∃!yP(X1,…,Xn,…)(x,y)は上の関数y=G(x)を表すPAでの述語である。このような述語が上で述べたαであり,αがχに追加される度に命題∀x∃yQ(x,y)でQ(x,y)の真理集合がP(X1,…,Xn,…)(x,y)の真理集合を含むものもχに加えられる。かくしてΓのΠ1文は尽きる。それに上に述べたように∃yPr(n,y)に関する完全な情報によりΠ1文以外の狭い意味でのPAの完全な情報を手にする。従って狭い意味でのPAの真命題全てを知ることになる。述語を集合論に取った場合,Π1,Σ1文以外の命題はΠ1同様に関数から決められるが,1つの関数だけでなく他の関数g(序文と後記参照)が要る。以上のメタ議論が遂行可能なシステムでPAは完全性を持つ。

Fは関数集合( ek;ω→ω但し, ek(k)=1, ek(n)=0( n≠k)でFの要素はf(x)= ΣX(k) ek(x)自然数係数全体からなる) の形に表せる。(2011年11月28日 記)

Fの要素はΣX(k)ek(x)(kは自然数全体をわたる)。これに順序数ΣX(k)(ωのk乗)(kは自然数全体をわたる)を対応させることにより順序数で指示できる。また集合論で述語P(f)(x,y)={(k,X(k))|kは自然数全体}により関数f(x)を充足する。この対応によりFの関数はそれを充足する述語を持つ。さらにω×ωの部分集合である述語についてP(f)(x,y)⊂P(x,y)に対し∀x∃yP(x,y)は真であり,それらのみが真であると定義することにより集合論における自然数についてのΠ1文の真偽値が完全に決まることは既に述べたところである。しかしより小さいシステムでPAの完全性は保証できる。ΩをPAのΠ1文でFのある関数を充足するもの全体とする。またPAで証明可能なΠ1文の全体をχ(0)とおく。Ω−χ(0)が空集合でなければそれからΠ1文を1つとりφ(0)とする。PAにφ(0)を 公理として追加したPAをPA(1)とし,定理全体をχ(1)とする。この操作を高々,可算無限回繰り返すとやがてΩは尽くされΩ=χ(κ)(κはある可算順序数)となる。そしてPA(κ)はΠ1完全。ゲーデルの証明可能述語Pr(x,y)に対し,f(x)=n(nはPAの命題のゲーデル数)∀x∃yPr(f(x),y)=∃yPr(n,y)がΩで真=証明可能か否かはPA(κ)で決定可能。よってPAの任意の命題について決定可能。即ち,PA(κ)でPAは完全になる。φ(0)は具体的にどのように表されるかと言えばゲーデル文(f(x)=n(nはPAの命題のゲーデル数))∀x∃yPr(f(x),y)=∃yPr(n,y)は既に述べたものより小さな可算な1つの具体例になる。

前進(2011年10月28日 記)

かなり前進しました!気掛かりな点がかなり分かった。しかし集合論ZFでPAの真命題が証明可能は撤回する事になりそうですが,ZFがPAのゲーデル文を全て生成出来れば話しは別で自然数の1階のZFの命題は真だがZFで証明不可能なものがある。PA命題をZFで扱った場合はまだよく分かりません。モデルについての部分が未だ不明なので。考えをΠ1文 φ=∀x∃ya(x,y)に集中しようと今朝がた思ったんです。Πk文は帰納法でΠ1文に帰着されそうなんで。そこでa(x,y)の真理集合をΚとする。さてφが真であるとしてKの要素でx=αのものが唯一の場合を考えるとKの要素(α,y)についてyはαの関数値と見なせる。y=f(α),一般にKの要素は(x,f(x))(x=0,1,…,n,…)からなるとする。このようなfは非可算個ある。全部でωのω乗。ところでPAで証明可能Π1文は高々可算個だからこのようなPAΠ1文の述語の真理集合に関して関数fが定義されそれらも可算個だからfは一列に並べられる。それらをf1,f2,…,fn,…とする。関数g(x)=fx(x)+1とおくと真理集合Κの要素が(x,g(x))(xは自然数全体)である述語をPAで定義可能である。述語y=g(x)の真理集合はそうなっている。(f1,f2,…,fn,…に対応する再帰的関数の中でgを作り,表現可能定理でPAに対応するものがあるがそれをやはりgで表す。)すると∀x∃y(y=g(x))は真だが証明不可能なPAのΠ1文になる。同様のことは集合論ZFでも言えるから集合論ZFで証明不可能なPAの命題の存在はあり得る。その場合PAの命題φの述語の真理集合 Lからφが真であるものをPAの公理系に付加する操作を高々可算無限回実行する手続きを集合論ZFのメタ理論で実行するとZFのメタ理論ではPAの真命題は全て証明可能となる。 問題点;上のgはPAの中で本当に取れるか。上の事情からZFのモデルで全数検査関数値は同じとは限らない。理論の中で全数検査関数値が正しく全て定まるようにするには非可算個の真理集合の各々について述語の真理集合から真が分かる全ての冠頭標準形のうちPAに属すものだけを真と判断出来れば良いだけだが正しく真理集合の全数検査が可能な関数を定義できて真理集合がそのような全数検査関数値が真である述語の真理集合を持つ全ての冠頭標準形を表現できるシステムにおいてはPAの真命題は勿論証明可能。1階なら述語をZFに しても真命題は証明可能になる。結局,集合論ZFなんか可算モデルを持つくらいだから理論の中に本物の,つまりどのモデルにおいても非可算個の要素を持つを公理としてくっつける。どのモデルでもV(φ)の値が同じになるシステムがあれば僕の前回のレポートが生きるんですが実数を丸ごと含む集合論はその候補かも知れない。,V(φ)=真,V(φ)=偽の一方のみが証明可能は公理として相応しくない。

補足。新たに獲得するPA命題について。(2011.11.4 記)

PA命題の定理を全て出力するプログラムが存在する。但しy=定数の関数の代入で命題が証明されるものはy=0 の代入で証明されるとする。するとx番目に出力される命題のxに対してx番目の命 題命題を真とする最小のy=fx(x)が計算できるからfx(x)の値をx番目に出力するプログラムがあり,x番目にfx(x)+1を出力するプログラムも存在する。そのプログラムは再帰的関数として表現されるから表現定理により対応するPAの論理式A(x,y)とする。ここでyはx番目の出力を表す。すると∀x∃!yA(x,y)(∃!は唯一存在を意味する)はPA命題でy=fx(x)+1を代入すると真となる命題である。この命題をPAの公理に加える。このようにしてPAを拡大するが,次のステップでは出力される定理の先頭になるように定理出力プログラムを変えて,以下同様にしてPAを拡大する。

終わりは間近かまだなのか(2011年10月30日 記)

ωからωへの関数全体をWとおく。f∈W に対してP(f)(x,f(x))が任意の自然数xに対して真となるような述語P(f)を全て付加した集合論Tを考え,PAのΠ1文である命題φ=∀x∃ya(x,y)に対してV(φ)の値をa(x,f(x))(fはωからωへのある関数)が任意の自然数xに対して真であるとき,かつそのときのみ真と定義することが最も合理的である。このときPAの命題∀x∃ya(x,y)が真なら∀x∃ya(x,y)⇔∀x∃yP(f)(x,y)である。但しfを計算可能な関数ばかりにできないからやはりTの不完全性は残るだろう。それで証明可能なPA命題φに対応するf全体を考えるとそれらは可算個だからf1,…,fn,…(Tの証明可能な命題全体は再帰的枚挙可能な可算無限集合だから,上の関数f1,…,fn,…も再帰的枚挙可能な可算無限集合)のように一列に並べられる。そこでg(x)=fx(x)+1と定義するとgはωからωへの関数で∀x∃yP(g)(x,y)をTに公理として追加する。(gもPAで表現可能でないとPAにP(g)(x,y)なる述語が存在しないから∀x∃ya(x,y)⇔∀x∃yP(g)(x,y)を満たすPAの述語a(x,y)も存在せず,真だが証明不可能なPA命題は増えない)gが表現可能ならこのような拡大を(次は関数をg,f1,…,fn,…と並べる,以下同様にする)高々,可算無限回行うと(PA命題全体が可算無限個だから非可算無限回追加できない)そのシステムにおいてPAは完全になる。自然数全体ωについてωからωへの計算可能(例えば計算機で)な関数の再帰的枚挙可能な可算無限集合のときgも計算可能であることが示せれば再帰的計算可能な関数はPAで表現可能,更に∀x∃ya(x,y)がTで証明可能ならば,あるfについて∀a(x,f(x))がTで証明可能が示せれば帰納法で一般化して完了します。結局,真だが証明不可能の原因は∃ya(α,y)(αは具体的で固定された自然数)を確認する際,yに0,1,2,…,n,…と代入して行くとき真ならいつかは真と確認できるが際限なく待たないとダメで偽なら果てしなく続く。だから真と分かるのは際限のない代入結果でなく理論的にyの存在が分かるときとするとそのような最小のyがy=f(α)で,逆にωからωへの関数f全体の代入を考え任意のxについてa(x,f(x))の成立が理論的に言えるときだと考えましたが一昨日の流れでV(φ)の定義域を対角線論法で延長することが念頭にあったからでしょう。対角線論法は1つ余分を獲得しますが全体的な相関関係が見えて来ないので避けたかったがV(φ)のどこかでの答えが予め期待できないようで仕方なく使いましたがgがPAに含まれないとa(x,g(x))⇔y=g(x)がPAの述語にならないから新たにPAの真だが証明不可能な命題を獲得したことにならない。しかしこう書いてみるとgはPAに入ると拙い感じがします。しかし普通,自明に∀x∃y(y=g(x))は成立しそうですがg(x)をx番目の双子素数の小さい方でなければ0とすると双子素数が無限にあるか有限かも分かってないから現状だと真理集合が定まってない。

再帰的関数= 計算可能な関数の最小化による関数定義(2011年10月31日 記)

先ほどは失礼しました。車中すっかり寝込んでしまったようです。計算機のプログラムではDO While〜文にあたるのが計算の理論で最小化で得られる関数で∀x∃ya(x,y)=0(a(x,y)は計算可能)なときx=αを与えるとa(α,y)=0を満たす最小のyを返す関数です。実はこの形のPA命題を調べたとき計算の理論の話しは全く頭にありませんでした関数gを対角線論法で定義したときgがPAで表現可能か否かの議論で漸く気づきました。PAで表現されなくても集合論では表現されるし,対角線論法なしで未定義要素を埋める命題が集合論でもPAでも存在するからドンドン埋めれば命題全体に真理関数が定義出来ます。対角線論法で作ったgは具体的で分かり易いゲーデル文になってるはずです。だから基本的には完了したと思っています。ネットの2回分のレポートとメールでここ2回分,前進と完了か?を読んで貰えば同感して貰えると思っています。全数検査関数の扱いで元のものを一応定義するか今は真理関数と言った方が良さそうな∀x∃ya(x,y)が真である事とωからωへの関数y=f(x)が存在して∀xa(x,f(x))が真であることが同値になるを押し出した真理関数の定義を並置するか,結論に関与する後者だけにするかどうまとめるか真であると証明可能のやや曖昧な区別を少し厳密にするかなどです。いずれにせよ厳密に書く必要はないと思いますから枚数も数ページにしかならないと思います。

(2011年 10月1日 記)

関数係数偏微分方程式の局所解の存在は(境界条件なしだと) 成立しそうです。

変数係数の1階偏微分方程式の局所解は逆関数の定理で変数変換(しかもuxの係数関数が0でなければヤコビ行列の第1列は関数でそれ以外の成分は下三角に取れると思います。上三角に取っても良いしかなり勝手に取れる)それで関数係数1階偏微分方程式は変数変換後はUxかUyの係数を零化できるからこれを解く。2階の場合(aUx+bUy)x+(bUx+cUy)y−(ax+by)Ux−(bx+cy)Uyが純2階になりますが1階偏微分の部分はdUx+eUy+fU+gに回して更に未知関数Gを入れて(d−ax−by)Ux+(ebx−cy)Uy+fU+g+G=0 を先ず解いてUを(実際はUx,Uyを)Gで表す。(Ux,UyはAG+Bの形になると思います。)1階部分の解は(x,y)⇔ (X,Y) なる変換でX,Yで先ずは表されていますが,x,y変数に戻す(実際に,式の形でx,yには表せないが),そして純2階のUx,UyをAX+Bの形のx,yの関 数で表し,今度は未知関数をGとして解いて最初のUをGで表した式に戻す。3階,3変数以上にも適用出来そうです。と言う事で関数係数偏微分方程式は境界条件を無視すれば局所解を持つ。(僕にしては思いがけないエラーがあって瓦解してしまうかも知れないが。)線形偏微分方程式以外は全て非線形偏微分方程式だから扱ったのは定数部分の関数が0なら解の和は解となります。係数に未知関数が含まれる非線形,例えば関数係数の5変数関数Fに対してF(x,y,Ux,Uy,U)=0 の解Uの解なんてUを固定されたある2つの関数f(x,y)とg(x,y)に対して例えばt=0のときf,1のときgとなるようなパラメーターtを含むF(t,x,y)で中間値の定理であるtでG(F)=0 となるような方法をうんと複雑化した方法を考えるとか可微分多様体の微分同相局所座標みたいな感じですかね。ナビエ・ストークスみたいなものだと連立だから未知関数がU,V,Wあった気がしますが取り敢えずV,Wはパラメーター扱いして大きめにUの範囲を決めておいてv,wの条件を加味して行くのもありそうだがV,Wが食い込み激しく話しにならないのかも知れない。

(2011年9月25日 記)

1階偏微分方程式と2 階偏微分方程式

2変数の場合に戻るともとの偏微分方程式はaUx+bUy=c,変数変換X=X(x,y),Y=Y(x,y)の後,偏微分方程式は(aXx+bXy)UX+(aYx+bYy)UY=cとなる。それで1つ消去しようとするとaXx+bXy=0 になるようにXx,Xyを取る方向で考える。この式ではa,b,Xはすべて独立変数x,yの関数と考えられているが局所的にはx,yの方を独立変数X,Yの関数と考えられる。そう考えたときXx,Xyとx,yをX,Yで偏微分した式で表す事に行き着く。幸いにも J=XxYy−XyYx とおくとXx=Jδy/δY,Xy=−Jδx/δYと計算出来るからaXx+bXy=0 は aδy/δY−bδx/δY=0となる。ここでX,Yで表した式をx,yに変数変換すると考えてaδy/δY−bδx/δY=0 を満たすように x,yを取り直すとδU/δXの係数を0 に出来る。従って最初のx,yと最後のx,yは異なる。さ てこの方法では一般のnでは厳しい。変数変換の結果,2変数だとaXx+bXy=0 を満たすXの存在をaδy/δY−bδx/δY=0 をみたすx,yの存在に置き換えたが3変数以上だとこんな計算ではすまない。(余因子行列はn=3でも面倒)直接aXx+bXy=0をみたすXの存在を示す方向が望ましいが,次のようにやれば良い。Xy=1,即ちX=y+W(x)とおいてaXx+b=0 でW(x)を決め,Yはヤコビアン≠0 になるように適当に取る。斯くして2変数を解くと3変数の場合,変数変換X=X(x,y,z),Y=Y(x,y,z)Z=Z(x,y,z)の後,偏微分方程式の係数の1つはaXx+bXy+cXz=0,Xz=1,即ち,X=z+W(x,y)とおくとaXx+bXy+c=0 ,zを定数扱いすると2変数の場合に帰着する。こうして1階の偏微分方程式は解の有無を論じ得る形になる。2階偏微分方程式に関しては未知関数Gを導入してaUx+bUy+G=c,AUxx+BUxy+CUzz−G=0とおき前者からUをGで表し,後者に代入すると未知関数Gに関する2階偏微分項のみからなる2階偏微分方程式が得られる。従って2階偏微分方程式の問題はAGxx+BGxy+CG zz=E(EはGを含み得る)を未知関数Gについて解くことが問題。

定数係数偏微分方程式の局所解を貼り合わせられるか

小近傍で係数を定数とみなして定数係数偏微分方程式の小近傍解を求められるとする。集積点を持つ位,可算無限個のデータが有れば解析関数なら一致の定理で集積点の近傍解が得られるはずですが無限回微分可能でも一意に関数は決まらないですよね。各点毎の積分定数の自由度は目指す非線形偏微分方程式に代入して決まるとして無限個データが有れば取り敢えず級数は決まりそうですが無数にデータを満たすものが存在する可能性があると言うことですね。無限回微分可能でも確定部分があるものはその近傍では解析的てことですかね。以前,灘の控え室でy'=3(xの−2/3乗)の解が至るところ分岐すると例示したことあると思いますがこの場合至るところ解析的解がないと言う事のようだから至るところ分岐する解析的でない解があり得るわけですね。データとしてどんな点を取るかによるのか も知れませんね。

携帯でネット検索してみたら…

携帯で2階非線形偏微分方程式を検索すると何故か1階非線形偏微分方程式が書かれていました。ハミルトン・ヤコビの正準方程式は1階非線形偏微分方程式だそうで解は完全積分で非常にきれいに表せるのだそうです。解析力学か何かその周辺ぽいですね。そもそも2階非線形偏微分方程式の一般論を考えて変数変換しても簡単になりそうになく偏微分方程式論は1階は変数変換で原理的には解けて,2階からが本当の始まりだとメールした後,以前,可能性として書きましたが気が進まない局所定数線形偏微分方程式の解の貼りあわせ位しか手はないかと考えあぐねて携帯検索すると意外なヒット!始まりと思ってた2階にしてもミレニアム問題の1つナビエ・ストークス方程式は2階非線形偏微分方程式だそうで解の存在問題が100万ドルらしいです。何か前回メールで解析関数と無限回微分可能関数の違 いに想いを馳せていたら基礎論の無限大近辺で分岐するモデルを連想しました。偏微分方程式論は僕が思ってたよりキツイみたいです。この分野は空き家だらけと思ったんですが頑丈な鍵つきかも知れませんね(笑)

ある年の数学オリンピック予選12 番の拡張

(2011年9月25日 記)

《命題》d次元空間において一般的な位置にn個の点からなる集合Sがあり,f(X)=0がd−1次元の超平面を定めるとき,f(X)>0に含まれるSの点全体をf(X)>0で定まるSの部分集合とする。このような部分集合の個数はn点の取り方によらず一意に定まる。この個数をF(d,n)で表すときF(d,n+1)−F(d,n)=F(d−1,n)が成り立つ。   《証明》d=1のとき明らか。d>1としd−1まで真とする。d次元のときn=1,2,3のとき明らか。n(≧3)まで真と仮定する。またG(d,n)をG(d,n)=F(d,n+1)−F(d,n),H(d,n)をH(d,n)=G(d,n+1)−G(d,n)と定義する。仮定よりG(d,n−1)およびH(d,n−2)は定まっている。Sがn+1点のときn+1個目の点Pをかってにとる。Pを除くn点のなす集合Vについてある超平面でXとYに分割されたとする。(その際,境界をなす超平面がSの点を含むとき少し平行移動してSの同じ部分集合を定めかつSのどの点も含まないようにできるからSのどの点も含まないものだけを考えれば十分)このときV=X∪Yなる分割を与える超平面全体のなす集合をZとするとZは開集合(分割を与える超平面はVのどの点も含まないものだけを考えても良いから)。点PがZに含まれるとき、Pを含めて考えるとS=V∪{P}だからS=X'∪Y=X∪Y'、ただし X'=X∪{P}、Y'=Y∪{P}。よって新たにX'、Y'の2つの部分集合を数えなければならないが、この2つは下に述べるように、常に点Pを含む部分集合の数え上げにおいて数えられる。また点PがZに含まれないとき、Pを含めて考えるとS=X'∪YまたはS=X∪Y'の一方だけが成り立ち部分集合の個数は増加しない。点Pは上に述べたものとし、Pを中心とする半径の十分小さい超球面に接する超平面全体で部分集合はG(d,n)個だけ増える(この段階では点の取り方に依存する)Vからかってに1点Qをとり,この点を除いて考えるとPを中心とする半径の十分小さい超球面に接する超平面全体で部分集合はG(d,n−1)個だけ増える(仮定より点の取り方に依存しない)そこで上の議論をなぞるとP,Qを中心とする等しい半径の十分小さい超球面に同じ側で接する超平面全体で部分集合はH(d,n−1)個だけ増える(この段階では点の取り方に依存する)。PQに垂直でPを通るd−1次元のアフィン部分空間にn+1点すべてを正射影するとやはりその像であるn点の任意の近傍から一般的な位置にあるようなn点が取れるから考えている部分集合の個数を変えない範囲で像のn点が一般的な位置になるようにVの点を取り直せるから,点Pの像(Qの像)を中心とする半径の十分小さい超球面に接する超平面全体で部分集合はG(d−1,n−1)個だけ増える。よってH(d,n−1)=G(d−1,n−1)。右辺は点の取り方に依存しないから左辺もそうであり,G(d,n)=G(d,n−1)+H(d,n−1)で右辺の2つの項は点の取り方に依存しないから左辺も点の取り方に依存しないで定まりF(d,n)+G(d,n)=F(d,n+1)よってn+1点の場合も真であることが示された。《証明終了》

(2011年8月 記)

ある形式的体系SにおいてPAの任意の命題φが真ならば証明可能であることについて

PAの命題は冠頭標準形と呼ばれるQ1x1,…,QnxnP(x1,…,xn)の形で表せる。(ここにQ1,…,Qnは量化子,即ち∀または∃,x1,…,xnは変数,Pはn変数の算術的述語(関係))n組の自然数全体は自然数の1パラメーターtで順序づけられる。t番目のそれを(x1(t),…,xn(t))で表す。命題の1つをφ=Q1x1,…,QnxnP(x1,…,xn)とおくとき,全数検査を実施する反例探索プログラムに従って計算機を走らせる。但しここでの計算は反例が見つかるか否かによらず永遠に行われるとする。Vを値集合としV={1}と初期設定する。t回目の探索が偽であればVをV∪{0}に変更し,見つからなければV∪{1}に変更する。(Vのまま)パラメーターtに於けるプログラムの実行結果を踏まえて関数F(t)=V(t)とおくと,反例が見つかったとき F(j)=V(t)={0,1}だからF(k)=F(j)(k>j)となる。そこでlimF(t)=∪V(t)(V(t)はt回目のV)(t<ω)とおくとこれらの極限値は一意的に定まる。もし2つのモデルで異なる極限値を与えたとするとあるtについて2つのモデルでφの述語部分P(x1(t),…,xn(t))の真偽値が異なるがPは自然数に於ける関係だからそのようなことは起こらない。(2つのモデルの自然数全体は標準モデルで同型だから)従って2つのモデルでの上の関数Fの極限値は一致する。PAにこの極限計算関数(計算機で述べたが整数値をとる無限数列の和集合で表せるから)及び極限値を定義出来る集合論の一部分を加えた第1階形式体系をSとおく。そこでPAのある1つの命題の真偽を確定する証明が存在しないとするとφが真でも偽でも無矛盾であるから。真とするモデルと偽とするモデルが作れるが, これはφの真偽値(実際は上の関数Fの極限値が0か1か)がモデルによらず一意的に定まる事に反する。よってφの真偽値(実際は上の関数Fの極限値)を判定する証明が存在する。

真偽値を決める集合Vは一意的か

Vは前のように各段階で出力された結果の無限和集合とする。Aを自然数についてのある性質で∃xA(x)(性質Aを持つ自然数xが存在する)という命題を考えるがこの命題は偽でありしかも偽であることの証明はないとする。この時,性質Aを持つ自然数cが存在するという主張を封じるためxについての全数検査をする。いくら大きな自然数Nまで検査してもcはそれよりもっと大きいと逃れられるがこれだとcはどの自然数Nよりも大きい必要があり,そのような自然数cは存在せず全数検査の実行結果Vは偽を意味するものとなる。次に∀x∃yB(x,y)(任意のxに対してあるyが存在しBが成り立つと言う命題)が偽であるとし,これにも全数検査を実施する。∃yB(0,y),…,∃yB(n,y),…のどれか1つは偽と言う反例を出せば良いが1つの反例を出力するにも先程の∃xA(x)のVが偽を意味する出力をするのと同様,今度は反例1つ出力するにもyについての無限回の検査が必要でしかも全体ではxについても自然数全体に渡るチェックが必要だから全数検査でも1つの段階では反例は出せず集合論的にはω×ω回,上手く順序をつけ直してω={0,1,…,n,…}回の全数検査の結果,各段階での結果の無限和集合(この場合は結果をω×ω回の和集合に翻訳して表すのが適当でt回目のチェックが(α,β)回目に翻訳されるとしてB(d,e)の真偽が検査項目として偽ならV(α,β)={偽},真ならV(α,β)={真}としてV=∪V(α,β)((α,β)∈ω×ω))としてVが定まる。困難であっても反例探索の全数検査によりVは一意的に定まり高々2要素集合だから真偽まで決定するように思える。(集合論的にはそうだが実際には無限和集合の要素は分からない)PAのある命題φが真であるとすると全数検査の結果として得られるVもφが真なることを表すことになり,Sを1階の集合論としたとき,全数検査のプロセスをVへの関数として書き直せばφのSでの証明が得られる。(仮定よりVが真を意味することが分かっているから)従ってこの間のメモは同語反復でありφが真ならVも真を意味するはずと言うだけであり真で証明不可能なφはVが一意的でない場合があることを導く。解析的には全数検査の各段階の結果を形式的には関数で表せる。Vのかわりに無限数列の和,或いは0から∞までの積分を用いる事が出来るが非常に簡単な場合でさえ殆ど実行不可能に見える。実際に命題φの証明はφの個性を反映した概念の採用が適当でしょう。正しいとして(余り自信は ありません)不完全性定理との関係は少し興味があります。

一連の主張の趣旨

1.φをPAの命題,Tを真偽値の集合{真,偽}とすると集合論的関数FでF;{PAの命題集合}→Tかつφが真ならF(φ)=真,φが偽ならF(φ)=偽を満たすFが存在する事。

2.(示したかった事)PAの命題φが真ならSに於いてφの証明が存在する事。(証明が存在しなければφでも¬φでもSで無矛盾だからVが一意的でなく,(Vが2通りあるから)矛盾。故に証明は存在する。と書きはしたが,この辺りはSのモデルの自然数部分が全数検査で真偽値を決めたモデルを共通に持つようにSの公理系をとることが可能でないとダメだと思えます。

PA命題は集合論内部では決定可能の続編(2011年10月22日)

PAで例えば∀xP(x)の真偽値をVn={P(0),…,P(n−1)}として V=Un<ωVnとおくとm<nならばVm⊂VnだからVは一意的に定まりV={真}の場合にのみVは真を意味して∀xP(x)は真であるべきと言うのがω規則なんで僕の定義した関数のVと基本的に同じです。集合論の中の認識者にはPAの全命題についてVの値が分かるはずですが外からは分からない。PAの公理系と推論規則を保存するVの値の割り振りはモデル理論によると無限個ある。だから1階の集合論の内部でPAの命題φに対して上のVから定まる真偽値を定める関数をFとするとF(φ)=Vが定める{真},{偽}(Fを1階で定義する為にはφをφのゲーデル数に置換する必要がある)なるFとその値の一意性を定義する集合論の一部を公理として加えると集合論内部ではVの値は真か偽か確定するのでPAの各命題φの真偽 値が一意的に定まりPAのモデルは一意的でありVの値の割り振りは一意的とやってますが,ここは全く誤りで集合論の内部の認識者にはPAは完全に定まるが外部の我々から観ると結局正しいVが分かればPAは完全になると言う自明な命題になってしまいます。そこで正しくVの値を決めるには一種のゲーデル文G(PAでは決定出来ないが真である)を追加しそのVを真とし,それで推論規則に従って自然に定まるPAの一部分のVが定まり,さらにG+PAの公理系で拡大されたPA(GはPAの論理式だから拡大と言ってもPAの論理式は増加しない)に対して再びGに相当する命題のVを真としといった操作を可算無限回やるとVは完全に定まる。定まらないPAの命題がいつまでも残っていれば公理系に付加するゲーデル文が非可算個あることになるから可算無限回でVの真偽値の割り振りは完了する。それで付加したゲーデル文全体を公理系に加えるとPAは完全化します。だからある意味でPAは完全化して目標は達成された事になる。ゲーデル文に頼らないでこのVの割り振りを実行するには次のようにやればよい。例えばVの真偽値が既に割り振られた範囲外の命題が存在するとする。その中から仮に∀xP(x)を取る場合{P(0),…,P(n),…}がすべて真を与える命題を集合論内部では取り出せる。集合論ではそのような操作が許されると思います。自然数に対する命題∀xP(x)は真です。PAの命題にこの命題を加えて但しこの∀xP(x)から演繹されるPA命題φについ てのVに真の割り振りをします。∀xP(x)→φは集合論での推論規則に従う事になります。そして∀xP(x)→φの形の論理式だけ公理系に加える。このような集合論にはあるはずの命題を付加する操作をPAの命題φのVの真偽値の割り振りが完了するまで遂行する。この場合付加する集合論での命題Rは存在論的でVの値を割り振る為のガイド情報として導入するだけです。残る集合論命題の真偽値の割り振りは存在します。そこで公理系は集合論で良い事になります。集合論はPAを完全化する。(真偽決定可能で真命題のみ集合論内部で証明可能,但し集合論の無矛盾性は仮定して,ゲーデル文の追加もPAの無矛盾性は仮定する)(本文終了)。

追記;上記が正しければ8月発表分もまとめてもう少し厳密な議論をしようと思っています。正しくてもいつまとめが完成するか明言出来ませんが。ゲーデル文の追加でフェファーマンがPAの完全化をしたと言う記事を読んで,多分北田氏の本で結果だけ見て,昔もそんな話しがあったなくらいでした。と言うのはゲーデル文は特殊な形の命題だからムリだろうと頭ごなしに決めつけてたのですが先日,穴埋めが必要な真なる証明不能命題はPA命題が可算個しかないから非可算無限個はないのは明らかで穴埋め作業は可算回で完了せざるを得ないと気づきました。後者はVが真の命題を付加する必要があるから集合論において真と分かる∀xP(x)集合論内部でPA命題の片は付くと言う事から当初公理としては存在命題は避けたいと思いましたが他に適当な手段もなかったので。後で集合論に吸収されるから存在命題の特殊な公理系は消去できますし再登場が必要でも仕方ない。正しいなら誰かとっくにやっていそうな簡単さです。後者は一応集合論内部でPA命題は決定可能であると言う僕の長年の課題でしたがやはり集合論内部では可能とした部分が問題ですがパーソナルレポートとして公表します。

後者の方法への補足(2011年10月23日)

以下Vは,8月のレポートにおけるものである。PAの各命題φとその真偽値Vについて,1.先ずφに対してVが集合論T(Tにおいて自然数全体はPAの公理系から定める。またPAの論理式,推論規則を含む。)において一意的に決まる。従ってV(φ)でその真偽値を表す。2.1.の関数V(φ)の関数値についてPAの公理式φについてV(φ)は真,またV(φ)の真偽値はPAの推論規則と両立する事を次のように定める。3.W={φ|φはPAの命題全体}とおく。Wの各要素の真偽値を次のように定めて行く。先ずφが公理式ならV(φ)は真,このようなものφ全体をW(0)とおく。次にW(0)の要素φからPAで演繹される命題ΦについてV(Φ)の真偽値を真とする。 このようなものΦ全体とW(0)の要素全体を併せたものをW(1)とする。W(1)に含まれる論理式に関するVの値はTでの値と一致する。 W−W(1)が空集合でない場合,この要素αで,TにおいてV(α)が真なるものが存在すればPAにαを公理に加えたものから演繹されるPAの論理式のVの真偽値は真とする。この値がTでの値と一致する事はTにおけるVの定義より言える。以下同様の操作を反復する。こうしてPAと付加されたPAの論理式α,…からPAの各命題βに対してV(β)の値はTでのV(β)と一致する。TのPA命題以外の命題γに対してVの延長をとるとTのモデルが定まるがTの自然数全体とPA命題に対する関数VがPA命題上では一意的。故にTにおいてPAの真命題は証明可能。

後者の方法への補足の補足, 前者との関係。(2011年10月23日)

後者は,非構成的でいわゆるゲーデル文は有っても無くても構わない。要するに集合論Tで決まるV(φ)がT内部のPA及び必要ならTにおいて真であるがPAから演繹されないPAの命題α(実はPA及びその拡大体系のゲーデル文)を次々に付加してPAを拡大して行くわけですがPA及びその拡大体系におけるV(Φ)の値がPA及びその拡大体系から演繹される命題Φは真であると言うことからPA及びその拡大体系での真偽値と一致します。TにおいてPAのゲーデル文は定義可能であり,不完全性定理はTでのPAに関する定理として発見可能なはずですからTの内部で前者の議論は可能なはずで従ってTにおいてPAの命題φについてのV(φ)の真偽値は求められるはずです。Tでゲーデルの議論を展開してみる事は大丈夫だと思いますが1階の集合論Tでやれるかが多少心配。従って,PAの真命題φについて集合論T+φのモデルの存在証明は可能なはずですが,T内部で実行できず(Tのモデルが在ると言うことはTが無矛盾を意味するのでTのモデルをTで作れるとT内部でTの無矛盾性を証明する事になり第2不完全性定理に反するから。)Tの拡大クラスで実行可能なはずです。

(2011年6月5日 記)

ω={0,1,…, n,…} 全体を掃過する理想的反例探索プログラムに数論的命題Pとその否定¬Pを乗せて同時に走らせたとき

命題Pとその否定¬Pの理想的反例探索プログラムを同時に走らせたとします。ともに停止しないってことはともに真であるから矛盾。ともに停止するならやはり矛盾です。だから一方だけが停止して従って真であるのはPであるのか否定の¬Pであるのか分かります。無論,普通の反例探索プログラムだとPと否定の¬Pともに実行を停止しない場合があります。ゲーデル文Gは∀xQ(x)の形だがその構成の仕方からQ(0),Q(1),…,Q(n),…には永遠に反例が見つからずそのことからPA(第1階ペアノ算術)にはGの証明は存在せず従って証明不可能また普通の自然数のモデルで¬Gは偽だからPAで¬Gが証明されるとどのモデルでも¬Gは真であり上の事実に反するから勿論証明されない。自然数論の理論Tのある命題φがω全体で反例を持たないと実質的に翻訳できるTで証明される命題が無ければ実際反例探索プログラムはω全体を掃過できないから停止せずφは真でもTで証明されない。ω全体を掃過する理想的な反例探索プログラムの実行を代行するω上の関数の存在をPAに付加しても無矛盾なら数論の真偽は確定する。関数の実行結果が取り出せるものについては証明もできる。箱玉系についての竹野内氏のソリトン方程式を用いた結果はそのような例になっていると思えるがケースバイケースでしか結果は得られないにせよ取り敢えずω全体を掃過する理想的な反例探索プログラムの実行を代行するω上の関数を何らかの形で記述すること(以前述べたように例えば計算機のメモリ関数系)。其から少しずつ結果を出すことが組織的な探求には重要だと思っています。

(2011年2月 記)

数学上のある提案(ナカザワプログラムとは?)

プログラムを計算機において実行する計算過程を考えるとそれは決定論的物理過程でもあり,もしメモリ量などに制限を設けなければ各メモリ値は時刻tの(階段的)関数になる。そこで例えば計算機の電子回路網を支配する電子工学および物理的法則による微分方程式系などによりメモリ関数系を決定出来ないかと考えられる。それが可能でメモリ関数のt→∞での極限値が判るならプログラムの停止性判定ができる。勿論,プログラムを実行する道具は電子計算機である必要性はなく計算過程の媒体となりそこで実行される計算プログラムの内容とは独立に媒体において成立する独自の関係などにより,特にその計算過程の停止性判定が出来ればよい。数論の反例探索プログラムの停止性が判定出来れば数論の命題が決定出来る。だからここで提案しているのは数論の問題から関数の極限値の問題への移植である。既に提案されていても不思議でないし,私自身は見かけたことがないので上手く行かない決定的理由があるのかも知れないが敢えて提案する。計算論的な有限決定的枠組みで考えてはいない。例えばゲーデル文はプログラムを走らせても停止しないことは判明しないが高階の算術体系では判明する。論理的には集合論のフルセットで考える。また全ての場合に適用可能な方法であることは要求しない。