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正四面体型をつなげた球接立体

第21段階の写真追加 (2010年5月9日)

第21段階 (↓ステレオ写真 平行法)

(↓ステレオ写真 交差法)

左写真は, 紙粘土の球を接着して作った立体です。実物は差渡し25cmくらい。(裸眼立体視ができる人は平行法か交差法でご覧になれます。ステレオ写真の見かた)
→もっと大きい写真

この工作の特徴

球 3個がたがいに接している形のくぼみに, 新しい球を 1個, 前の3個すべてと接するように接着します。基本的に, この作業だけを繰り返して作られたのが左の立体です。

もっと具体的な手順は後述しますが, この工作では, はじめに決めた手順だけに従って, 形が作られてゆきます。その手順にしたがうと, 球をどこに接着するかの約9割は必然的に決まり, 残りの約1割はコイン投げの偶然性によって決まってゆくことになります。手順を決めて作り始めた後は, 制作途中での恣意的な判断はありません。

球のかたまりの間に溝ができ, かなり深い溝もあるのがわかるでしょうか? 全体として, もさもさと葉がおいしげった丸っこい木に似てきています。しかし,「枝分かれ」を何も設計せずに自然にできてゆくところがおもしろい。この工作は, ある種の自然現象と共通したメカニズムを示しているかもしれません。

また,制作前に,数学による造形予想もコンピューターシミュレーションもしてません。ものさしや分度器も使ってません。紙粘土を両手のひらで丸めることからはじめて, すべて, 手作業と, 感覚による判断だけで作っています。 100円ショップの紙粘土と瞬間強力接着剤を使うなどの点で大いに現代文明の恩恵を受けていますが, 他は好んで原始的な方法を選んでいます。


↓第1段階(4球)
↓第2段階(4球追加)
↓第3段階(6球追加)
↓第4段階(10球追加)
(以降第20段階まで同方向からの写真)

作業手順

(イ) だいたい同じ大きさの球4個を, たがいに接する形で接着し, これを第1段階の形(→右写真)とする。この形は, 正四面体の4頂点を球で置き換えた形である。
(ロ) 球3個たがいに接する形があれば, そのくぼみに新球1個を接するように接着する。第1段階の形に対して, 3球が作るくぼみをすべて調べ印をつけてから, すべてのくぼみに新球を接着すると右の第2段階の形(球 8個)になる。
(ハ) (ロ)と同様のことを繰り返し, 第3段階, 第4段階,・・・ と進む。ただし, 第3段階以降, 球3個がたがいに接する形があっても新球を接着できない場合がある。それには, 次の2種類の場合(a)(b)がある。(a) 新球を接着すべきくぼみがあっても, 前段階までの球が邪魔する形になっていて接着できない。この場合は新球を接着しない。(b)接着すべき新球が2個ぶつかり合ってしまう位置にあり, どちらか1個しか接着できない。この場合, 新球1個を選んで接着する。どちらの新球1個を接着するか選ぶために,「機会均等ルール(→注)」で1個を選べるときはそうし, そのルールで決められないときはコイン投げを行い神意を伺う。

「機会均等ルール」。細かな話でわかりにくいので読んでいただく必要はない。ただ, 制作手順を正確に記録しておきたいので, 書いておく。 上の(b)の場合, 新球候補 2個をS,Tとする。S, Tはそれぞれ, ひとつ前の段階に接着された球2個S', T'に接するようになっている。この1段階前の2球S'とT'には, S,T以外にも新球が接着できる箇所がある場合がある。さて, S'とT'に, できるだけ同数の新球が接着されるように接着箇所を決める。たとえば, S'にはS以外にも新球を接着できる箇所が1箇所あるが, T'にはT以外に新球を接着できる箇所がないとする。この場合, 新球候補SとTのうち, Tの接着を選ぶことになる。

第21段階までで, 球の総数は761球。作業手順(ハ)の(b)で書いた「コイン投げ」は67回。「溝」は深いので, 第1段階の4球がすべて, 761球のかたまりの中に隠れそうになりながらも「溝」を通して見えている。

この工作は「コイン投げ」の偶然性をふくむので, まったく同じ作業手順でも, できあがる形は非常に多くの可能性があります。ただし, 上記の作業手順に従うかぎり, 概形は「溝のある丸っこい形」になるでしょう。

作業手順を変えると, どんな形になるか興味深いことです。たとえば, 第1段階の形を変えるだけでもできあがる形はだいぶ変わってくるかもしれません。

作成時期, 2008年6月〜


↓第5段階(8球追加) ↓第6段階(12球追加) ↓第7段階(14球追加)
↓第8段階(19球追加) ↓第9段階(26球追加) ↓第10段階(27球追加)
↓第11段階(31球追加) ↓第12段階(35球追加)
↓第13段階(40球追加) ↓第14段階(43球追加)
↓第15段階(48球追加) ↓第16段階(51球追加)
↓第17段階(60球追加) ↓第18段階(73球追加)
↓第19段階(78球追加) ↓第20段階(82球追加)
↓第21段階(90球追加)
(第21段階)