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最終更新2003/04/10
講座「アートとしての数学」第 1回メモ
石鹸膜遊び。本講座のイントロダクション。
- 今回は数学の知識は特にいりません。シャボン遊びに熱中してください。
- シャボン遊びは誰でも子どものとき遊ぶでしょうが, シャボン膜の形態は, "極小問題"といわれる数学の例として19世紀以降, 一流の数学者たちが研究してきたテーマです。子どもの遊びにこそ, 深い問いを発せさせる鍵が, また, 豊かな造形力を刺激する力が, あるのかもしれません。
- ヒルデブラント・トロンバの本から引用。
「(極大や極小の問題について)・・・・・明らかにこのような問題は数学者たちの興味の対象である。日常生活においても, どんな状況が"最善"か"最悪"か。"最高"の性質をもつのはどれか。喜びを, 成功を, あるいは利益を"最大"にする作戦は何か。不快, 失敗, 損失を最小にする作戦は何か。空気抵抗が最小の自動車はどんな形か。最高速の船はどんな形か。外部への熱の損失を最小にするために, 一定の内容量で表面積が最小の家屋を作るにはどんな形にすればよいか。・・・・・・・ 」(小川 泰 他の訳本, 21ページ)
- 石鹸膜に糸輪で穴を開ける実演。シャボン膜に糸輪の穴参照。
石鹸膜の部分部分はたがいに引っ張り合っているので, その結果, 膜の面積は最小になる。そのことが形によく見えるのがこの実験。周一定のヒモでできる面積最大の図形が円であることの実験的証拠。
- 実験。石鹸膜上の糸輪(複数)がつくる美しい模様の可能性。
- 周一定で面積最大の他の例。古代カルタゴをつくった女王の話し。中世ヨーロッパの城壁都市の形。
- 体積一定表面積最小の形。空中のシャボン玉の形。机の面上のシャボン玉の形は?
落下中の水滴の形は ? イヌイット(エスキモー)の家の形(暖房効率)。
- 実験。針金を引っ張りあげる石鹸膜。
- 石鹸膜の上に浮かぶ針金造形各種。これは私の最近の新アイディアで注目すべき。石鹸膜の厚さは厚めに推測しても 1mmの千分の一〜百分の一程度かと思うが, それに 直径 1mm程度の針金でも浮かせられそうである。表面張力の力のためである。さらに, 直径0.2mmの銅線なら膜面の穴もふくむようなさまざまな形を浮かばせられる。
- その他思いついた実験を遊ぶ。
- 樹脂膜造形作品の一部を展示, 紹介。