数の始まりのトップへ / Haniu files のトップへ

自然は"数"をどのように生み出すか

これは, 数の始まりの他のページでは触れていない観点で, 考えることをメモしておく。

自然数, すなわち, ものを数える数, 1, 2, 3, ・・・・は計算や思考のためのもっとも単純な部品と思われがちだが, まったく逆の見方もできる. すなわち, 自然現象の有機的で複雑な働きが生み出す「節目」の姿として"数"である。

【分割, 増殖, 析出にともなう数】

細胞分裂や卵割過程を思い浮かべる。1 が 2となり, 3, 4, ・・・・ となってゆく。その過程は, 分割であるとともに増殖である。子どもの認識, 夢の世界, 神話などでは, 分割と増殖は渾然未分化なことがある。

太陽系誕生時の惑星たちの分割独立化。乾燥した土のひび割れやガラスのひび割れ。

1本の弦をはじくと, いくつかの振動の仕方が可能だが, その振動数は, 基本振動数の 1倍, 2倍, 3倍, .... になる。また, それぞれの振動の節目(振幅 0 の所)は弦長を整数で等分割する位置になる。弦の等分割と音のハーモニー (比較。水素原子のエネルギー準位とスペクトル)

冷たい水の入ったコップの表側に細かな水滴がたくさんつく。私たちはこれを当たり前に見ているが, なぜ, 水滴であり, 水の薄い膜にはならないのか ? 空気中の水蒸気が冷やされたコップ表面で液体の水になるのだが, もし「水蒸気→水」という変化のなりやすさがコップ表面のどこでもまったく同じなら「水滴の分布」ではなく, 水の一様な薄膜ができてもよさそうである。それが「水滴の分布」になるのは, コップ表面に水になるための条件の微細なゆらぎがあって, ある点Aで水の凝結が始まると, そのすぐそばでは水の凝結が起こりにくくなり点Aで水滴が成長してゆく。およそそんなことが起こるのだろう。
この現象の正しい説明を私は知らないが, 次のことは言えるだろう。均質一様に見える連続的なものに潜む「ゆらぎ」が, 「水滴の分布」のように離散的(非連続的)なものを生む出す。数は,この離散的なものにともなって生まれる。
同種の例として, 蜘蛛の巣につく水滴写真, 各種水滴写真

「無限定で連続的なものから, 離散的なものが析出される」これは, 何かものが生まれるとき, いたるところに見られそうだ。なぜ, 雨は, 雨粒として降るか? 上空の水蒸気の過飽和が, 空気中のチリなどを核に凝結し離散的な氷滴や水滴を成長させるからだろう。コップの水が凍るときも, 離散的な氷の核の成長から凍ってゆく。水全体が一様均質に水から氷になってゆくのではない。

【周期性とリズムが生む数】

太陽系の公転自転という周期性とリズムが, "時をはかる数"(年, 日)を生む。数の線状性は, 時の線状性から生まれただろう。

「分割増殖の数」と「リズムの生む数」が統一されて自然数(1, 2, 3, ・・・・)となる。(統一する前の2面性は, 集合数と順序数の2面性に受け継がれている)。太陽系や, 原子内電子のあり方は, 「分割」「リズム」の2面を示す。 卵割も回転運動をきっとともなっているだろう。

【数えられる時と数えられない時】

音楽にある拍節リズム(4拍子, 3拍子など)と自由リズム(追分の節の動き)。舞踊における拍節リズムと数えられない動き。拍節リズムが数えられる, というより, 拍節リズムや太陽の昇り降りのくりかえしが, 「順序だてられたものを数える」という行為を生み, 「順序だてられた数」を生む。

「数えられない時」は, 「時が満ちる」の時であり, 誕生, 死, 脱皮などの時である。