「アートとしての数学」トップへ / Haniu files のトップへ

講座「アートとしての数学」第 6回メモ

テーマ --- 数とは何か(準備編) ---

ここでいう数は, 私たちが最初に覚える数, 1, 2, 3, 4, ・・・・・, のこと, すなわち, 自然数といわれる数のことにしておく.

数や数学をできあがったものとして学ぶのでなく, "数", "数える", "形", を, 生まれ出てくるところでとらえる。そこは, 造形, 音楽, 舞, 思考, 呪術, 技術 ・・・・ あらゆる文化が生まれ出てくるところでもある。

こうした関心からものごとを調べるには, 歴史的起源, 神話伝説, 考古学資料, 語源や字源, 言語に現れる数, 子どもの認識過程, などが参考になる. これらと関連ある話題を数のはじまりに, 若干書いてあるので興味のあるページをごらんください.

集合数と順序数, 一対一対応

数の起源とか, 数えるとはそもそもどんなことか, といった迷宮に踏み込む前に, 私たち現代人が意味する"数(自然数)"について, 頭を整理しておくほうがよいと思う.
自然数 1,2,3,4,・・・・・ の用法には, 大きく分けて 2つある. たとえば, 同じ 3 でも「この部屋に 3人いる」の 3 のように「ものの集まりの大きさ」を表す場合と, 「3番目, 3人目」のように, 順番を表す場合がある. 前者の使い方の数を集合数, 後者の使い方の数を順序数という. 英語では, 集合数の 3は"three", 順序数の 3は"third"で, 単語としても区別されている. もう少しくわしくは→ 集合数と順序数.

さらに,集合数 1, 2, 3, 4, ・・・ それぞれが何であるかは, 一対一対応によって確定できる集合の属性として説明されるのが普通である。これについては→1対1対応による数の説明

今は, 集合数としての 3も, 順序数としての 3も, ひとつの数"3"としてとらえられているが, 数の誕生した頃を推察すると, 集合数と順序数の考えかたはある程度独立して生まれたらしい。さらに, 1, 2, 3 ・・・のような数専用の言葉(数詞)が確立する前に, 名詞や動詞の語尾変化で数の違いを表してきた歴史がある. (英語の動詞活用にも「3人称単数現在の s」が生き残っている)

一方で, 石器時代の骨の刻み目や, それよりは新しいが家畜の数を記録したらしい小石など, 数量的なあつかいをモノの操作で行ってきた歴史がある. (その進化物が日本のそろばん)

現代人の見方からはずれる数

【象徴としての数】

【形としての数】古代ギリシャのピュタゴラス派は, 三角数, 四角数, 長方数, 五角数, ・・・・・ など, 図形数と言われるものを考えた. (この7,8年間, 日本の高校1年の数学教科書に載っていた) これは, ギリシャ人にとって「図形が数を表している」というよりも, 「図形が即, 数である」に近かったと思う. これも近代人にはないとらえ方だろう.